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GOD EATER STUDIUM
第一部 少年たち
第四章
ゆりかご
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保護することはできなかった」
そう言って席を立とうとする、おっさんを止める。
「できなかった? それはどういうことだよ、おっさん! ルイが、ルイが命を懸けて助けようとした人たちだぞ!」
声を荒げる。おっさんはその様子に動じることなく静かに説明する。
「ここフェンリル極東支部。通称アナグラには確かに外部居住宅地が存在する。しかし、アナグラにも定員が存在する。そのためアナグラに住める人はゴッドイーターの適正資格を有するもの及びその親族または配偶者だけだ。あの少年は適性がなかったそれだけだ」
おっさんの胸倉をつかむ。自分でもどうしてここまで憤りを感じているかわからない。だけど一つだけ言えることがある。ここの大人たちはみんな非道である。
「じゃあ、おっさんはあの人たちが外の世界でアラガミに食われて死んでも構わないっていいたいのか!」
拳を振り上げて力いっぱい、おっさんの顔を殴る。おっさんは殴られた勢いで顔を傾けるが何事もなかったように再びこちらを見る。そいて冷たい一言を放つ。
「そうだ。それがフェンリルのルールだ」
(悔しい。とても悔しい。自分にどれほどの力があればと悔やんで仕方がない。もっとアラガミを倒せる力さえあれば、ルイが守ろうとしたものを守れたはずなのに)
悔しくて涙がでる。その涙は頬を伝い、ベッドを濡らす。
「悔しいか、少年。なら強くなれ、そしてクレイドルを目指せ」
病室の扉の閉まる音が響き渡る。



「にげて、サキ! ここは危ないから」
家の扉を慌ただしく開けて姉ちゃんは呼びかける。
「どうしたの、姉ちゃん。なにがあったの?」
「アラガミが近くの村を襲ったみたい。それでこっちに向かっている!」
姉ちゃんは手際よく家の中から食料、水など逃走に必要なものをリュックに入れる。
「はい、サキはこれをもって! いくよ」
用意したリュックのひとつを渡されて、指示されるまま背負う。姉ちゃんは家の前に止めてあったバイクにエンジンをかける。
「のってサキ」
バイクのエンジン音が響く。姉ちゃんの後ろに乗る。
「これからどこ行くの? 行く当てなんか」
「サキも聞いたことあるでしょ。行くのよ、フェンリル極東支部に」
そう言って姉ちゃんはバイクを走らせる。少し進むと後ろから爆発音が聞こえる。さっきまでいた所に火が燃え上がる。人々の悲鳴が聞こえる。
「姉ちゃんよかったの? 他の人を見捨ててきて」
「それが村のルールだから、自分の命は自分たちで守る」
姉ちゃんはそう言って前だけを見て運転した。その姉ちゃんの表情は言葉では言い表せないほど、険しく、苦しそうだった。逃げて数時間後に強大なドーム状の建物が見える。
「見えたよサキ。あれがフェンリルだわ」
姉ちゃんはバイクから降りるとそう言った。
「さてもうフェンリルまです
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