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リリなのinボクらの太陽サーガ
秩序のナイトメア
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路上強盗などの場合、大抵の犯人は大声を出すなと脅してくるが、逆に言えば大声を出されると目的どころじゃなくなるからだ。まあ犯人に逆らわずに言う通りにする、という考えもあるにはあるが、犯人にこいつは逆らわない奴だと思われると、要求がエスカレートして最終的に殺されることもある。シャロンだって怖い奴に自分の身体を好き勝手されるのは嫌だろう?』

『う、うん……それは当然だよ……』

『だからこそ大声を出すことが重要になる。大声を出されれば、犯人は必ずと言って良い程驚き、誰かが来たら捕まるかもしれないと考えるようになる。そうなると、自棄を起こして相手に怪我をさせるより、むしろこのまま何もせず逃げた方が良いのでは、と考える訳だ』

『でも、諦めが悪かったり、助けてくれそうな人が周りに誰もいなかったら? そんな状況で大声を出す意味ってあるの?』

『ある。大声を出すことで全身の筋肉が適度にほぐれるから、恐怖で委縮していた身体が動けるようになる。そこから先は反撃するなり逃走するなり色々あるが、攻撃が下手な以上、シャロンは反撃を考えず一目散に逃げるべきだろう』

『なるほど……でも……やっぱり恐怖を感じてる時は大声を出せないと思う。それに知らない人に助けを求めるのも怖い。私、臆病だからマキナやマテリアルズのようにはいかないよ……』

『そうか……少し面倒だが、シャロンには自らを鼓舞するための手段が別途で必要なのか。なら、威勢のいい歌でも歌ってみるか?』

『威勢のいい歌って……ロックバンドの曲とか?』

『まあ、そういうので良いだろう。シャロンは他人より目の前の出来事に対する恐怖心が大きくなりやすいから、一時的にでも恐怖心から意識を逸らす方法を覚えるべきだ。例えばこういう行動をしている間は絶対他に意識を向けないなど、一般でも使われる自己暗示みたいなものだな』

『私の場合だと、歌ってる間は周りで何が起ころうと歌うのを止めないみたいな? でも……そんなことできるわけ……』

『今すぐは当然無理だ。長い時間反復練習して体が覚えることで、無意識にできるようになれば上出来だ。とはいえ、助けを求められるなら素直に求めろ。頼れる者がいるなら、そいつの名前を呼んでもいい。とにかくこの次元世界でシャロンが安全に生き延びるためには、このことを決して忘れるな。今の俺では、こういう知識を教えるぐらいしかできないからな』

……ごめんなさい、サバタさん。せっかく教えてくれてたのに、世紀末世界に暮らしてる間にその心構えを忘れていました……。

……大声、か。この状況なら確かに……威勢のいい歌の方が良いかもしれない。出だしから迫力を出せる歌……アクシア・イーグレット!

「…………!」

「あん?」

出せ……! 声を出すんだ……! もっと……
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