秩序のナイトメア
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「戻ったよ、公爵」
「ご苦労」
時空管理局本局の中でもごく限られた者しか知らない場所、かつて最高評議会がいた空間は完全に公爵のものとなっていた。シリンダーは全て無くなり、代わりにあるのはまるで機械の城とでも言うべき玉座、そこで公爵が様々な作業を行っていた。
そして、皮肉なことにこの場所が僕らの住居であった。クジラの腹の中にいる寄生虫にクジラは気付けないように、僕達は正義の味方の腸に潜んでいたのだ……。
「ポリドリ側との連絡も先程終わった。この機に乗じて奴らも動くとのことだ」
「そう。向こうの様子はどうだった?」
「相も変わらずニーズホッグはイライラしていたが、フレスベルグも反りの合わない奴が近くにいるせいで騒がしかった。改めて思うが、わざわざ犬猿の仲である両者を蘇らせるとは、ポリドリも見る目が無いな」
「それ以外に蘇らせられるイモータルがいなかったんだけどね」
「魔の一族は滅び、影の一族は文字通り影に潜んでしまったからな。ヨルムンガンドの件で封印が解除されたのは知っているが、太陽の戦士達との戦いで全滅したのか、それとも密かに浄化を免れた個体もいるのか、とにかく現状が定かではない。故に探しようもない」
影の一族には実力があのラタトスクに匹敵する奴もいるらしいけど、それ以上にわからないことが多い。ただ、元人間ばかりだって話は聞いたことがある。
「ま、あんなんでも蘇らせた理由を考えれば、むしろ都合が良いか」
僕が公爵の駒なら、あの2体はいわば……贄。何も知らず本能のままやりたい放題してる彼らだが、真実を知ってる僕からすれば哀れでもあった。
さて、ここに戻るまでの間のことを話すと、僕は公爵の指示通りに動いており、4年前の件から出所しても行き場を無くして毎日飲んだくれていたゲイザーに、管理局が公にしていない情報を教えてやったのだ。ゲイザーについてはそこまで詳しくはないが、魔導師への憎悪、コンプレックスは凄まじいものがあり、そのためならどんな手段も取りかねない男だった。
まぁ当然ながら最初は子供の戯言だと相手にされなかったが、イエガー社長の共犯者の弟子だと言うと彼の眼の色が変わった。数分前とは一転して、僕の話を真剣に聞いてくれたよ。……そんな話を持ち出した僕自身は、似て非なる戦法を取るとはいえ一応魔導師の枠内ではあるから、滑稽な話だね。
話を戻して、ゲイザーに渡した情報の内の一つは停戦協定についてなのだが、そもそも管理局はなぜ公表していないのか、それはイモータルに管理世界を譲渡するという条件が大きな理由なのさ。ミッド以外の管理世界出身者にとっては、ミッドに故郷を売られて身の安全を勝手に買われてることになるのだから、当然裏切られたと思うことだろう。
つまりあの会談そのものに、人間達を
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