暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第58話「一時の帰宅」
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していたから、そこから伝わったんだね。」

 本来ならこの場で言うつもりでもあったのだろうか。
 少し出鼻を挫かれた表情をしていた。

「まぁ、IS関連の事業の裏で、地道に開発を進めていたのさ。そこへもう一人協力者が見つかって一気に進んでいた所で....今の事態に至る訳さ。」

「タイミングが悪いというかなんというか...。ジェイルさんが外れたのは大丈夫なんですか?」

「結構痛手だよ。だが、進行状況は知られているみたいでね。アイデアなどが送り主不明で送られてくるよ。筆跡は彼だから、おそらく桜君達の場所から送られているのだろう。」

「さすが...。」

 発行元を分からなくした上で送ってくる事ぐらい、造作もないんだろうな...。
 今の所、そこまでやる事がなくて暇なのかもしれないけど。

「...秋十君。君は諦めないようにね。」

「......はい。」

「僕は諦めて、結局少しでも楽な道へと行ってしまった。だけど、君は彼らを止めたいのなら決して諦めちゃだめだ。彼らもまた、諦めていないのだから。」

 ...そうだ。桜さん達は夢を諦めていない。
 だからこんな強引な手を使ってでもISを宇宙に羽ばたかせようとしている。

「それと、だ。あまり夜更かしはしないようにね。僕と違って、秋十君はまだ学生の身だ。健康には気遣いなよ。」

「はい。」

 会話は終わり、俺とグランツさんはそれぞれの部屋に帰る。
 その途中、ふと気づく。

「(...あれ?桜さん達...もしかして....。)」

 ISを宇宙に羽ばたかせるために今の状況を作り出した。ここまでは分かる。
 だけど、それでは意味がないのも分かっているはずだ。
 だから俺達は止めようとしていた。

 ...まさかとは、思うけど...。

「(...俺達が止める事を含めて、桜さん達の計画なのだろうか...?)」

 俺達が止めると分かった上で...いや、止めるからこそこの状況を作った。
 先を見通し、きっと自分達だけでは達成できない事を、俺達に託した...。

「.....結構、期待を背負ってるんだなぁ...。俺...。」

 とんでもないプレッシャーだと、俺は思う。
 他でもない天才の二人に、天才を超える事を期待されているのだ。
 ....応える以外に、選択肢なんて存在しないじゃないか。

「無茶苦茶だなぁ。...まぁ、でも、桜さんと束さんらしいか。」

 ...もしかしたら、千冬姉も感付いているのかもしれない。
 俺達を含め、世界中が天才二人の掌の上か...。

「...いいぜ。やってるやるよ桜さん。そっちがそう望むんなら、俺も応える...!」

 何もかも思い通りに誘導されるのは仕方がない。

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