第一話「主人公は……」※修正
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」である。
都市伝説がもとで、今ではそれをベースに特撮ドラマとして放送されている。女尊男卑という風習に押し流されることのない純粋な子供たちは、大方この仮面ライダーに夢中であった。もちろん、特撮オタクも仮面ライダーが好きなのは言うまでもない。俺も、憧れの存在として今も尚好きだった作品を見返しているのだ。
――俺も……仮面ライダーだったらな?
そんなカッコいい自分なら、きっと今日までの惨めな自分とはオサラバして、カッコいいヒーローの新たな日々が待っているに違いない。カッコよく戦って、悪い怪人をやっつけて、周囲から称えられる。そんな英雄に……
そんな妄想にふけっていると、俺は気づかぬ間にあくびをしていた。今日はもう寝よう。
俺は、パソコンの電源を切ろうとしたとき。
「……?」
デスクトップより、新着のメールが届いていた。それも、両親のメアドでも、親戚のメアドでもない。誰のものなのかわからない、全く知らないメールアドレスで受信フォルダーに転がり込んできたのだ。一体、誰からだろうか? ネットショップで会員になった俺へと連絡用のメールだろうか? いいや、それなら懸命にそのショップの名前を載せているに違いない。
ただ、件名だけが「九豪君へ」という一言のタイトルでしか表示されていなかった。
何かのいたずらだろうか? もしや、脅迫メールとか? しかし、人に恨みを買われるようなことは一度もやった覚えはない。いじめの的にはなりそうな覚えはあるが……
では、この宛先人は何者だ? 俺は、気になるゆえに恐る恐る好奇心に駆られてその覧をクリックしてしまった。
「なんだ? これ……」
メールの内容を覚悟して読み上げたのだが……それは脅迫メールや詐欺などでもなく、ただ俺に伝えたいメッセージをそのまま打って送っただけにすぎなかったのである。
メールの内容はこうだ。
『九豪雷羽君へ。
今週の日曜日に熊牙神社へ向かうといい。その社には君が必要としている、とあうる「チカラ」が封じられているはずだ。もし、君が今の自分がどうしようもなくて嫌だというのであれば、私はそこへ行くことを進めよう。なに、騙されたと思って行ってみてもいい。そこには、絶対に君が到底たどり着けることの叶わなかった理想の産物が眠る場所であろう。
強制はしない。自分の判断に委ねてくれればいいのだ……』
文は、そこで終わって途切れていた。しかし、一通り読み上げたはいいものの、その内容からして如何にもな胡散臭さを漂わせているようで、とてもじゃないが信用はできないのである。
「……下らねぇ」
どうせ、単なる悪戯だ。俺はそう片付けてパソコンの電源を切った。行ったところでチンピラや変な詐欺師が待ちかまえているだろう。真っ先に浮かんだのはそれである。そう簡単に信用すれば、バカを見るだけだ。
歯を磨いて
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