第一話「主人公は……」※修正
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ようだ。まぁ、俺には何も求められていないからそれはそれでいいけど?
つーか、そんな身なりで選手目指してたなんて信じられない。髪を茶髪に染め、ジャージもチャラチャラ……生徒指導の先生だから一様、こういう身なりをして不良共を威嚇しているとの理由だが……はっきり言って教師じゃなくてどこぞのチンピラじゃないか?
「おらぁ! 遅れてんぞ? 男子どもぉ!」
女子はさておき、三原が俺たち男子に怒号を挙げる、「女尊男卑」というご時世なのか、きっと婆教頭をはじめ、女教員にいじられている三原にすれば俺らに八つ当たりしてストレスを解散したいという理不尽な行為なのだろう。
そもそも、なぜこんな女性有利の社会になってしまったのか……理由はかれこれずいぶん前に起こった「白騎士事件」というクーデターによるものだ。
「IS/インフィニット・ストラトス」なる、女性にしか取り扱うことのできない飛行パワードスーツが発端で、その風習なのか女性が強い権利を誇り、男たちは単なる労働力としてこき使われ、あしらわられている。過去に、それに反発した反乱も起きたが、ISによって瞬く間に鎮圧され、それ以降「女は最強」という結論が生まれてしまったのである。
「休むな! 九豪、とっとと走りやがれ!!」
――うぜぇな……ゴリラ野郎!
舌打ちしながらも、俺は鬱陶しく三原を睨んだ。奴は、勝ち誇ったように堂々と周囲に威張り散らしている。ムカつく野郎だ……
そのとき、ふと誰かの悲鳴が聞こえた。周囲に交じって男子数人、それも昼休憩に俺をパシッてた男子らが足の遅い朱鳥を囲って何かとちょっかいをかけてきた光景があった。俺はそれを偶然にも目撃してしまったのだ。
「や、やめてぇ……」
今にも泣きそうになる朱鳥の身体をあちらこちらとタッチしたり揉んだりと痴漢行為にでる男子たち。こいつらも、きっとスケバン共にこき使われているから女なら誰だろうと仕返ししたということで、クラスの中でもっとも目立たない気弱な朱鳥をターゲットにしたのだろう。それ以前に、サイズの合わないそんあピチピチな体操着とブルマを着ている彼女ならぜったいに狙われそうなのはわかっている。
「サッカーボールよりもでっけぇぞ? この乳……」
「うわぁ〜……めっちゃ柔らけぇ〜!」
「いい匂いもしてガチ興奮する……!」
「う、うぅ……」
そのとき、朱鳥はふと近くを汗だくになって走る俺を見て、俺も彼女との目があってしまう。口では言えぬも、彼女は涙を流しながら、こう目で訴えてきた。
――助けてぇ……
「……!」
しかし、今の俺にはそんな度胸がなかった。今ここで出たって返り討ちに合うだけだし、そんなことをしてまで……でも、俺の中に眠る正義感が「そのままでいいのか!」と、疑問を呼び掛ける。それでも、俺にはやはり「勇気」というものがなかった。
――ごめん…
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