第一話「主人公は……」※修正
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ことに張り切っている。うらやましいの一言だ。俺もあんな風にかっこよくなれたらな〜……?
「あ、あの……?」
「ん?」
その、おとなし気で、か弱い声が俺を制止させて振り向かせた。振り向くと、まだ制服姿で立っているうちのクラスメイト、名前は……誰だっけ? 俺は物覚えも悪いのだ。
「えっと……誰?」
「同級生の、桑凪です……」
学園で一番目立たない女子生徒、桑凪朱鳥。腰まで伸ばした長い鮮やかな黒髪に、マイペースでのほほんとした風格を漂わせてくるが、しかし、そんな彼女の唯一の長所となる箇所が、豊かすぎる胸元である。一言でいえば「巨乳」を通り越した「爆乳」であった。俺もついつい目が釘付けになる。
そんな彼女は、風もないのにタプタプと白い胸のふくらみの乳を揺らしながら話しかけてきた。できるなら手短に……っていうか、どうしてコイツまだ制服のままなんだ? 俺はとっくに体操着の上にジャージまで着ているっていうのに。
「その……教室に戻ったら、誰もいないので……どうしたのかなって?」
その疑問の質問に俺は目を丸くした。さては、時間割を見ていなかったと思える。
「ほかの移動教室に行ったんですけど、どこも違う組の人たちで……どこにいったのでしょうか?」
「……」
俺はやや、呆気にとられた。しかし、俺でさえもこういう天然なところがところどころあるから、人のことは言えない。
「体育……だけど?」
俺は苦笑いしながらそう答えた。
「ふ、ふえぇ〜!?」
再び、朱鳥が乳を揺らしながら驚いた。こうしてはいられないと彼女も教室へ戻って体操着に着替えようとするが、ことあることに「ちょっとまっててくださ〜い!」とか言われて呼び止められてしまい、どうしてもこの場から立ち去ることができなかった。
「すぐ来ますので〜!」
「えぇ……?」
ため息をつきながら、俺はしぶしぶと教室の前で待ち続けた。
「……」
教室の中からは、いまだに「えっと……」、「あれ……?」、などと朱鳥の声が聞こえてくる。そのようすからして、何か困ってしまったようにも思えた。いや、絶対これは困っているに違いない。
――どうしたんだよ?
俺は、引き戸の扉をノックして彼女に訊ねた。
「大丈夫? どうしたの?」
すると、しばらくして朱鳥の返答が返ってくる。
「あのぉ……体操服が見つからなくって……」
「え! 忘れてきたの?」
「いいえ、今日はちゃんと持ってきたんですよ? おかしいなぁ? お昼休みにはちゃんとあったのに……」
「……」
彼女の証言が本当なら、と俺は適当に推測を挙げた。彼女はああ見えて俺と同じようにいじられてるキャラだ。ひょっとしたら……
「なぁ? 時間がないし……学校のを借りなよ?」
「でもぉ……私のとサイズ合わないですから……」
「でも、早くしないと遅れるって?」
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