第十二幕:お揃いの虹
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
探す事に気を取られていて気が回らなかったのかも知れないが、七夏ちゃんが案内してくれる時は、俺より前を歩こうとせず、ほぼ横を歩いている。以前より余裕が出てきた為か、自分のぎこちなく歩くさまが目につくようになった。俺は歩く速度を抑えて七夏ちゃんが先導する形を取ろうとすると、結果的に二人の歩く速度が遅くなる・・・。
時崎「七夏ちゃん!」
七夏「はい☆ あ・・・ごめんなさい。私が案内していたのですよね」
俺の『ぎこちない歩き方』に気付いてくれたようだ。七夏ちゃんは少しだけ歩く速度を上げてくれる。俺の歩みが滑らかになる速度を確認しているようだ。この辺りの配慮は民宿育ちだからなのかも知れない。
七夏「えっと、こちらのお店になります!」
時崎「喫茶店!?」
七夏「はい☆」
俺はてっきり、お買い物かと思っていたが、喫茶店という事は、七夏ちゃんは休憩したいという事なのかも知れない。そう言えば、今日は七夏ちゃんと商店街を結構歩いている・・・俺は写真撮影で結構歩き慣れているけど・・・この辺りの配慮ができないとダメだな・・・。
時崎「七夏ちゃん、ごめん!!」
七夏「え!?」
時崎「今日、結構歩かせたから・・・ここで休憩しよう!」
七夏「休憩・・・はい! お心遣いありがとうございます☆」
七夏ちゃんと喫茶店に入る。
七夏「こんにちは♪」
店主「あら、なっちゃん! いらっしゃい!」
七夏「はい☆ いつもの・・・お願いします」
店主「毎度ありがとう。ところで、そちらのお方は?」
七夏「あ、えっと・・・お客様です☆」
時崎「はじめまして。ご挨拶が遅くなってすみません」
店主「いえ、ごゆっくりどうぞ」
時崎「ありがとうございます。 七夏ちゃん!」
七夏「はい!?」
時崎「ここで休憩・・・」
七夏「あ・・・はい♪」
こちらの喫茶店では「なっちゃん」と呼ばれているようである。この喫茶店で、紅茶の葉とコーヒー豆を注文している。恐らく民宿風水で扱う業務用だろう。
七夏ちゃん本人はココアを注文したので、俺も同じ物を頼んだ。普段はココアを頼む事なんてなかったのだが、少しでも七夏ちゃんとの共通点を増やしたいと思ったからだ。
七夏「柚樹さんも好きですか?」
時崎「え!?」
七夏「えっと、ココア・・・」
時崎「あ、ああ・・・ココアの事ね」
前にもこんな事があった・・・『好きです! この写真!』・・・七夏ちゃんは、時々倒置法で話す事がある。どのような時なのかまでは、まだ分からないが、共感できた時がそうなのかも知れない。
七夏「はい。なかなか無くて・・・」
時崎「無いって、ココアが?」
七夏「はい。紅茶やコーヒーは他の喫茶店でもあるのですけど・・・」
時崎「なるほど」
七夏ちゃん曰く、紅茶やコーヒ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ