第二章
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「それに背も高いし顔もいいから」
「だからっていうのね」
「いいっていうのね」
「九十五点なのね」
「そう。まあ勉強が駄目なのはどうでもいいから」
それは度外視していた。学生の重要なパラメーターも彼に関してはこれで終わらせる亜由美だった。
そしてその言葉をだ。さらに言うのだった。
「まあそれでね」
「それでって?」
「まだ何かあるの?」
「五点は。まあ完璧な人なんていないじゃない」
やはり視線を泳がせて言う。
「それで引いたってところかしらね」
「ふうん。まあそこまでいけてるってことね」
「亜由美の中じゃ池上は九十五点の人」
勿論百点満点で、である。
「五点マイナスは完璧な人間なんていないから」
「そういうことね」
「まあそうかしら」
視線は泳いだままだ。
「そんなところね」
「わかったわ。そうなのね」
「そういうことね」
「亜由美はそう考えてるのね」
「そんなところかしら」
シラを切った口調だった。
「まあね」
「成程ね。そうなの」
「池端君についてはそうなのね」
「そうした考えなのね」
「わかったわ」
「そうよ。特に何もないから」
またシラを切る。今度も。
「そういうことよ。いいわね」
「わかったわ。それじゃあね」
「今度池端君と話してみたら?」
「彼とね」
女の子達は内心くすくすとしながら亜由美に告げる。
「そうしたらどう?今度だけれど」
「そうしてみたら?」
「えっ、お話って」
そう言われてもだ。亜由美はというと。
顔を赤くさせて戸惑うだけだった。それでだ。
やはり視線を泳がせて必死の顔になりしかも声も狼狽させたものにしてだった。何か憧れのアイドルに会う様な顔になって言ったのである。
「そんなの。あの」
「あのって?」
「だって。お話するだけでしょ」
「それ位何でもないでしょ」
「そうよ。特に彼氏でも何でもないんだから」
「それはそうだけれど」
本音は隠す。そのうえでの言葉だった。
「けれど。そんなことは」
「いいから。だったら彼呼んでくるわよ」
「そうしてあげるけどどう?」
「舞台のセッティングはしてあげるけれど」
「そんなのいいわよ」
先程よりも狼狽した顔になってだ。亜由美は彼女達に答えた。
「私が行くから。池端君のところよね」
「そう。行ってお話してみたら?」
「そうしてみたら?」
「ええ、お友達として行くわね」
無理矢理だ。亜由美はこういうことにしてだった。
その弦太郎のところに行き彼と話す。弦太郎は亜由美から見ると三十五センチは高い。しかもリーゼントのトサカのせい
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