第二話
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の書類の処理やら別の依頼やらで完全にタイミングを失った。」
「あなたの立場は一応少しは知ってるし忙しいのも分かるわ、けど近くに来たら少し寄るくらいはできたんじゃない?」
「……返す言葉もない。」
なお書類の処理などは依頼主のズボラさが関係しており、連絡を入れるタイミングを失った事にも関係していたりする。また彼女の家の近くに寄った事も何回かはあったがタイミング悪く忙しい案件ばかりで時間が取れなかった。しかしそんな事は言い訳に過ぎず更なる墓穴を掘る事にしかならない為、口にはせず何か打開策はないかと必死に脳を働かせていると、アリサが口を開いた。
「……今度。」
「え?」
「今度埋め合わせで私に付き合って、それでチャラにしてあげる。」
「ほ、本当か!?」
「本当よ、まあ埋め合わせなんだからなにか払うときはそっち持ちね?」
「勿論だ!……本当にすまなかった。」
「ハア〜、もういいわよ。こっちも自分の事棚上げしてちょっと苛め過ぎたし。」
そう言いながら少し呆れたような笑みを浮かべた。元々アリサとしてもカイムの立場も理由も無しに人との約束を反故にするような人物ではないと理解しているし一言謝罪を貰えればそれで許すつもりだったのだ。ただ割と珍しいカイムのうろたえる姿を見て少々悪戯心が芽生え弄れるチャンスと思ったのである。あとはちゃっかりと埋め合わせも確保していたりする。女は強いとはよく言ったものである。
「それじゃあ話も纏まったし学院まで一緒に行きましょう?」
「そうだな、そろそろ時間も余裕が無くなってきたし行くか。」
そう言いながら二人は学院に向かって歩き出した。そして公園を通った所で、カイムは見覚えのある姿を発見した。
「……すまんアリサ。少し待っててくれるか?」
「どうしたの?」
「ちとな。」
そうアリサに答えるとカイムは、公園の長椅子に寝転がっている自分と同じ深紅の制服を着ている少女に近づいていった。髪は銀の短髪、体型は丸まっているとはいえ長椅子の幅の方が勝っている辺り同年代の平均よりは小柄、眠っているその顔は体系と同じく若干幼く可愛らしい。
「おい『フィー』。こんなとこで寝るな。もう入学式まで時間が無いし風邪を引くぞ。」
そう言いながらフィーと呼んだ少女の頬をペチペチと軽く叩きながら話しかけた。少ししてフィーはむくりと体を起こし伸びをしながらカイムに答えた。
「おはよう、カイム。起こしてくれてありがと。」
「本当にお前はどこでも眠るな、起こさなきゃずっと寝てるだろ。」
「あまり馬鹿にしないでほしいな。もう少ししたらちゃんと起きるつもりだったし気持ちよく眠れる場所でしか寝ないよ?」
「…
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