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泰平忍者
第五章

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「ですが」
「やがてはか」
「それに相応しい者がいれば」
「授けるか」
「そう考えております」
「真剣に教えておるか」
「はい、確かに暇にかまけてですが」
 それでもというのだ。
「教える方もです」
「そうか、見たところ弟子も多いな」
「それなりに」
「それで銭も入っておるか」
「そうなってもおります」
「よいことであるな」
「それがしはそうしておりまして」
 茶を飲みつつだ、秋山は二人に話していった。
「他の者は別のことをしております」
「甲賀者はか」
「中にはいなくなった犬や猫を探したり不義密通の確かめ等も」
「そうしたこともか」
「しております」
「成程のう」
「そしてこうしたこともです」
 飼い犬や飼い猫を探したり亭主や女房のそうしたことを探ることもというのだ。
「中々やりがいがあるらしく銭もです」
「稼げるか」
「左様です」
「そうした暇の潰し方や銭の潰し方があるか」
「忍の者達も」
「成程のう」
「泰平なので仕事は確かに減りましたが」
 しかしというのだ。
「そうした町での仕事に身を入れております」
「それが今の忍の者か」
「そうなのです」
「わかった、泰平なら泰平でじゃな」
「働いております」
「それを見付けてじゃな」
「そうしております」
 秋山は加納に確かな声で話した。
「我等も」
「わかった、そういうことか」
「はい、これがまた面白いです」
 秋山の顔は充実していた、加納と徳田は彼とさらに話し忍術の稽古も道場に戻ってさらに見せてもらった。そして一通り見たいものを見て聞きたいものを聞いてだった。
 加納は道場を後にして帰る時にだ、こう徳田に言った。
「泰平の世ならそれはそれでな」
「はい、忍の者はですな」
「やることがあるのう」
「そうですな、泰平で民も暮らしに余裕が出て」
 そしてとだ、徳田も話した。
「犬や猫も飼って」
「それがいなくなれば」
「探す必要があるので」
「そこでも忍の者達が働く」
「そうなっているのですな」
「そうですな」 
 徳田は納得した顔で加納に応えた。
「道場も開いたりして」
「やることを見付けておるな」
「忍者は泰平に向かぬ」 
 ここでだ、徳田はこうも言った。
「そう思っていましたが」
「そうでもないな」
「はい、ですが」
「ですが。何じゃ?」
「いや、若しもです」
 徳田はここで苦笑いを出してだ、加納にこんなことを言った。
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