第五章
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「あいつは今回の裁判を裁判としてだけじゃなくだ」
「自分のイデオロギーの為の運動ですか」
「そう思っていてな」
そのうえでというのだ。
「動いているからな」
「国民の税金も使われているのに」
「しかも国選弁護人の立場でな」
「色々とんでもない奴ですね」
「ふざけた奴だ、遺族の人達のことなんか気にもかけずにな」
そうした人達への配慮は一切せずにというのだ。
「そんなことをしているんだからな」
「人間として最低ですね」
「人間ですらないかもな」
「もっと酷いですか」
「そうも思う、本当にだ」
苦い顔のままでだ、こうも言った河原崎だった。
「人間あそこまで酷くなれるものだ」
「それでどうなるんでしょう、この裁判」
検事の立場からだ、山田は裁判のこれからのことについて思った。
「安田達のせいでかなり遅れていますけれど」
「国も馬鹿じゃないからな」
河原崎はこのことから述べた。
「こんな調子でわざと遅れる様にされるとな」
「たまったものじゃですから」
「そうだ、だからな」
「国としてもですか」
「手を打つだろう」
そうなるだろうというのだ。
「やっぱりな」
「そうなりますか」
「ああ、さもないとだ」
「只でさえ大変な裁判なのに」
「それが終わらないからな」
「安田もそのことまでわかっていてやってますし」
「しかもわざとなのは明らかだ」
意図的な遅延がというのだ。
「だからな」
「国も手を打ちますか」
「そうなるだろうな」
「早くそうして欲しいですね」
山田は河原崎の言葉に心から思って言葉にも出した。
「それでまともな国選弁護人付けて欲しいですね」
「ああ、他にまともな奴はいなかったのか」
河原崎は安田の性根を知っているからこそこうも言った。
「本当にな」
「全くですね」
「国選弁護人もまともな奴を選ばないとな」
「適当ならですね」
「大変なことになる」
実にというのだ。
「本当にな」
「今みたいにですね」
「こうなるんだ」
こう言うのだった、そしてだった。
そうした話をしつつ河原崎は山田そして他のスタッフ達と共にだった、検事と共に仕事をしていった。そうしているうちに。
安田も他の面々も裁判に対する意図的な遅延行為を理由に国選弁護人を解任された。そして新たに国選弁護人となった弁護士達によって普通の裁判が行われていったが。
解任された安田が雑誌で言っている発言をその雑誌を持って来たうえで山田にその雑誌を見せつつだ、河原崎は彼に問うた。
「どう思う」
「あの、この雑誌ですが」
山田は眉を顰めさせてまずは安田が言っているその雑誌のことから話した。
「週刊月曜日じゃないですか」
「そうだ」
「この雑誌極左雑誌ですよね」
「運
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