第二章
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それで打ちまくりチームの勝利に貢献した。マニエルは何時しかチームを引っ張る存在になりチームメイト達からもマニエルおじさんと言われて親しまれる様になっていた。
マニエルはよくチームメイト達と遊び西本とも話した。そしてだった。
ある日西本にこんなことを言われたのだ。
「御前何か日本の歌知ってるんか?」
「日本の歌?」
「そや。何か知ってるか?」
マニエルを見上げて問うてくる。大柄なマニエルはようやく一七〇を超える辺りの西本からはどうしてもそうなる。
「日本の歌やけれどな」
「一つ好きな曲がある」
マニエルは西本の問いにこう返した。
「あのお菓子の曲だ」
「お菓子?」
「日本のお菓子でタイ焼きだったな」
「ああ、およげタイ焼き君やな」
「あの曲が好きだ」
マニエルは西本に答える。
「面白い曲だな」
「歌えるんやな」
「実はいつも歌っている」
こうも答えるマニエルだった。
「実は」
「そやったら何時でも歌えるか?」
「歌っていいか」
「遠慮することないわ」
西本はマニエルのその大きな背中をぽんぽんと叩いて告げる。
「何時でも歌ってええからな」
「そうか。それならな」
「試しに今日にでも皆の前で歌うか」
すぐに打ち解けた彼等の前でだというのだ。
「そうしてみるか?」
「面白いな。それなら」
「ああ、早速や」
こうしてマニエルはゲームの後で早速その歌を歌った。歌ったその瞬間に。
西本はその隣に来てウクレレを演奏する仕草をしてくれた。そしてマニエルのその調子に合わせてくれる。
マニエルはそれが嬉しかった、それで西本に言うのだった。
「有り難う、ミスター西本」
「ああ、ウクレレの仕草かいな」
「俺だけだと何か浮いていたかも知れない」
だから西本のその心遣いが嬉しかったというのだ。
「本当に有り難う」
「これ位お礼を言われることでもないで」
しかし西本は笑顔でこう言うだけだった。
「別に」
「そうなのか」
「そや。それにしてもその歌よかったで」
自分のことよりもマニエルのことを褒める西本だった。
「これからは打つだけやなくてな」
「歌でもか」
「そや、歌でも盛り上げてくれるんや」
「そんなことを言われたのははじめてだ」
日本に来てからだけではない、マニエルが野球をはじめてからはじめて言われたことだ。
大柄で顔立ちも怖い。ついた仇名が赤鬼の彼にこう言ったのだ。マニエルはその西本に思わずこう尋ねた。
「ミスター西本は俺が怖くないのか」
「御前がかいな」
「そうだ、この俺を怖くないのか」
「何が怖いんや」
西本はマニエルに温か
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