第四章
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「間違いないです」
「女夜叉?」
「はい、ベトナムに昔からいる妖怪らしいです」
「夜叉というと鬼だな」
警部はその名前からこう連想した。
「そうだな」
「はい、女の鬼でして」
「そいつは血を吸うのか」
「子供の頃ひい祖父ちゃんに言われました」
ザップに言われたことを思いだしつつ警部に話した。
「そうした奴がいると」
「そうだったのか」
「はい、我が国には」
「俺はそうした話は疎いからな」
警部にはそうしたことを話す親戚がいなかったしそうしたことについて書かれた本にも興味がなかった、それで知らないのだ。
「夜叉か」
「はい、おそらくは」
「そいつが犯人か」
「そうだと思います」
「だとするとな」
「はい、犠牲者は今のところ一人ですね」
「ああ、見付かっている限りじゃな」
死体がとだ、殺人事件は目撃や死体等の証拠がないと事件にならない。さもないと只の行方不明事件になってしまう。
「それだけだ」
「では今のうちにです」
「より多くの犠牲者が出ないうちにだな」
「早く収めましょう」
「女夜叉を倒してか」
「そうしてです」
「それはわかったが」
それでもとだ、警部はチンに問うた。
「しかしだ」
「はい、それでもですね」
「相手が相手だ」
「魔物ですからね」
「普通のやり方で倒せる相手じゃないだろ」
こうしたことに疎い警部でも知っていることだ、こうしたことは。
「普通の銃とかじゃな」
「はい、女夜叉は塩と桃が苦手だそうです」
「塩と桃か」
「どちらも魔物の苦手なもので」
チンはここでも曽祖父が自分が幼い時に話してくれたことを思い出していた、そのうえで警部に対して話しているのだ。
「それで、です」
「そうしたものを使ってか」
「はい、倒せます」
「そうか、じゃあな」
「それならですね」
「塩と桃を用意するか」
「桃は桃の木で作った木刀がいいそうです」
チンは警部にこのことも話した。
「そうしたものを使ってです」
「女夜叉を倒すべきか」
「はい、しかも」
「まだあるのか」
「絶対に振り返ってはいけないそうです」
このこともだ、チンは警部に話した。
「女夜叉相手には」
「振り返ると?」
「はい、このこともひい祖父ちゃんに言われましたが」
「そうなのか、このことも」
「女夜叉は夜道に擦れ違って」
「夜道だな」
「それで振り返った相手を襲うそうです」
「擦れ違って振り返るとなると」
このことからだ、警部も察した。魔物のことには疎いがそれでもこうしたことは警官としての直感からわかるのだ。
「女夜叉は相当な美人か」
「もうぞっとする程のものかと」
「だから振り返るか」
「思わず」
「そして振り返ったそこをか」
「襲うそうです
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