第二章
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「伝えましょう」
「この国はまだ手掴みですからね」
「何とも野蛮ですね」
「まだ手掴みで食べているとは」
「どうにも」
「そこもあらためましょう、とかくです」
王の前での不機嫌な顔をそのままにだ、カトリーヌはこうも言った。
「この国の料理はなっていません」
「あまりにも酷いですね」
「宮廷であれとは」
彼等もカトリーヌと共にいて見ていた、それで主と同じ顔になって言うのだった。
「まことに酷いです」
「作法もよくありませんが」
「何しろ料理がです」
「あまりにも酷いです」
「このままでは耐えられません」
カトリーヌは本音も述べた。
「ですから宮廷では貴方達の腕を見せてもらいます」
「はい、是非共」
「そうさせて頂きます」
「我々の料理の腕をお見せしましょう」
「この国でも」
シェフ達はカトリーヌに強い声で応えた、彼女はフィレンツェでの美食をフランスでも楽しむつもりで連れて来たが彼女はこのことによかったと心から思っていた、そしてだった。
早速だ、カトリーヌは彼等に作らせた料理を宮廷に出した。するとだった。
王も廷臣達もその料理を見てだ、まずはだった。
目を見張ってだ、そのうえでだった。お互いを見合わしてそれからカトリーヌに問うた。
「あの、これは」
「これは一体」
「どういったものですか?」
「見たことがないですが
「余もだ」
王も言う、端正で王らしい威厳を備えた顔で言うのだった。
「この様な料理はだ」
「そうでしょう、しかしです」
カトリーヌは王にも廷臣達にも誇らしげな顔で応えた。
「これがフィレンツェの料理なのです」
「これがか」
「そうです」
王にその顔で答えた。
「香辛料と香草を効かし程よく焼いた鴨肉にです」
「鴨をか」
「はい」
その通りだというのだ。
「そしてシチューもですが」
「人参や蕪にか」
「ミルクを入れただけでなく」
その白いシチューも見せて話した。
「肉に味付けもしています」
「やはり香辛料でか」
「そうです、味付けは全体的に変えています」
「そうか、何処まで煮たのではないのか」
「そんなことはしません」
カトリーヌは王にむっとした顔で返した。
「そしてパンの焼き方もです」
「柔らかそうだな」
「そうもしましたので」
「味が違うか」
「はい、そちらもです。あとジャムも用意してチーズもフィレンツェから持ってきたものを出しました」
そうしたものも変えたというのだ。
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