人面犬
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そうだよね!」
瞬く間に気を良くして歩調を早める。…こういう所を間抜けと感じるか、朗らかと感じるかは個人の好みがありそうだ。
「……ねぇ、結貴くん」
「ん?」
「彼女の惚気話、聞いてあげようか?」
そう云って縁ちゃんは笑顔で覗き込んできた。…瞳の奥が、笑っていないような気がして俺は目を反らした。
「……や、いいよ」
「つまんないの!」
俺たちはぽつりぽつりと互いの近況を無難に報告し合いながら、薄闇の街をぼんやりと歩いていた。やがて玉群の灯りが近い竹垣の巡りで俺が足を止めると、縁ちゃんも足を止めて振り向いた。笑顔…だったのかもしれない。薄闇が邪魔をして、彼女の表情がよく見えない。
「ありがとう」
この子らしくない、何かを含んだような『ありがとう』は、鳩尾に杭を打ち込まれたように響いた。
で、後日。
姉貴が小梅を連れて来たついでにさりげなく人面犬のその後を探ろうとしたが、今、小梅の頭の中は妖怪ウォッチだか何だかのことでいっぱいらしい。そのうち忘れるとは思っていたが…早ぇよ忘れんのが。
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