第二十八話
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ろうからな。
……とは、リズには言わない。
俺のシステムアシストが使えない事情を知っているのは、今やキリトやアスナ、クラインといった親しい攻略組だけだ。
別に言っても構わないのだが……言わなくても構わないだろう。
「さて、代金はいくらだ?」
「はいはい、えっと……これくらいかしら」
足に、メンテナンスしてもらった仕込み刀を装着してクナイを自分のクナイ入れに入れると、リズから代金が算出されたトレードウィンドウが、俺の近くに表示された。
少し金額を水増ししてOKボタンを押し、リズが文句を言う前にトレードが成立する。
「やっぱ、足に無いと落ちつかないな……なあリズ、そろそろ昼飯だろ? どっか食いにいかないか?」
「そうね。……思えばもうこんな時間だし……」
その時、店のドアが開く音とハルナさんの『いらっしゃいませ』という声が店内に響きわたって、リズがなんとも微妙な顔をした。
「いらっしゃいませ〜」
しかし、流石は商人プレイヤーであり、若干微妙な表情を残しつつも接客に向かった。
鍛冶屋業務に俺は邪魔だろうと思い、工房に引っ込んでおく。
聞き耳スキルなんていう趣味が悪いスキルは上げてないが、たかが部屋一つの境目だ、特に集中していなくても普通に聞こえる。
どうやら、来た客は片手剣のオーダーメイドに来たようだ。
「予算は気にしなくて良いから、今出来る最高の剣を作って欲しいんだ」
どっかで聞いた声だな、と思い工房から顔を出すと、黒い服に身を包んだ、俺の予想通りのプレイヤーがリズと話しをしていた。
「……キリトか」
「ショウキ!? ……お前、どこにでもいるな……」
(確かに否定できないが)ほっとけ、と言いながら工房から店の売場に出る。
リズは一人状況が分からないようで、俺とキリトの顔を交互に見ていた。
「えっと……知り合い、なの?」
「ああ。こんな身なりでも攻略組の一員の、《黒の剣士》キリトだ」
キリトも俺も、あまり上質そうな防具を着ているようには見えないせいで、下層プレイヤーに見られがちだ。
……まあ、二人とも服装を変える気は無いが。
「こんな身なりは余計だっての。それで、作れるか?」
「それは、もちろん作れるわ。少し待っていてくれる?」
キリトが頷いたのを見たリズは、一旦工房の方へと引っ込んでいった。
オーダーメイド品を作るのに、何かしら準備があるのだろう。
「キリト。もう一本の片手剣ってことは……」
「……ああ。《二刀流》のスキルをカンストした」
キリトが持つエクストラスキル……いや、ユニークスキル《二刀流》。
去年のクリスマス、キリトとちょっとしたいざこざがあり、俺はそこでキリトの二
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