第二十八話
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のままでは、心ないプレイヤーに何をされるかわかったもんじゃないので、寝るなら寝るでキチンと店内で寝てくれた方が良い。
「おい、リ……」
肩を揺すっただけでは起きようとしないので……揺り椅子に座っているんだから当然だろうか……声をかけてみると。
「は、はいっ! ごめんなさいっ!」
「おわっ!」
今まで寝ていたリズが声をかけたら突然飛び起き、俺は反射的にバックステップで後方へと距離をとる。
「えっと……ショ、ショウキ!?」
少し寝ぼけて辺りを見回した後、呆れ顔であろう俺の顔を見ると、今何が起きたかという状況を一瞬で把握したらしく……素晴らしい判断力だ……顔を赤く染めた。
「そ、そういえばショウキ。あんたに頼まれてた武器、作っといたわよ」
ゴホン、と咳払いをして照れ隠しをし、リズは俺が何かを言う前に即座に次の話題に移った。
……ここでリズの寝顔のことを追求しても面白いのだが、機嫌を損ねられても困るので、話にのってやることにする。
「お、早いな……昨日頼んだばっかじゃないか」
「これぐらい余裕よ。まあ……ちょっと夜遅くなっちゃったけどね」
なら、店先で寝ていたのはそもそも俺のせいだったらしい。
ちょっと頼んだものの金額を上乗せしよう、と心に秘めつつ、リズと共に《リズベット》武具店の店内へと入った。
「お帰りなさいませ」
住み込みの店員NPCのハルナさんが、店主とは違って礼儀正しく挨拶をしてくれる。
しかし、この前来た時には挨拶は『いらっしゃいませ』だったような気がしたが……?
俺の疑問を悟ったのか、ハルナさんは恭しく礼をしながら答えてくれる。
「店主から、ショウキさんについてはお帰りで良いと――」
「さ、ショウキこっちこっち!」
ハルナさんの言葉が途中だが、またもリズに和服の裾を引っ張られて工房に連れ込まれる。
「ちょ……引っ張るな!」
なんだか1ヶ月前あたりに経験したような既視感。
デジャヴって言った方が通じたりするが。
そのまま工房へと入った俺に、リズが差し出してきたものは、本家鍛冶屋にキチンとメンテナンスしてもらった足刀《半月》とクナイ……つまりは、システムアシストが使えない俺を、陰で支えるサブウェポンたちだ。
自分自身の手でメンテナンスはしていたのだが、所詮は専門職ではない俺では武器の摩耗は防ぎがたく、本家鍛冶屋であるリズにメンテナンスを頼んだのだ。
ついでに、クナイ作りも頼んだのだが……まさか、こんな早く出来上がるとは思わなかった。
「足につける仕込み刀なんて……こんなの始めて作ったわよ」
「ま、だろうな」
普通のプレイヤーがやったら、多分バグが発生してソードスキルが使えなくなるだ
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