第二十八話
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ポリゴン片となってこの浮遊城から消え去った。
「微妙にナイスな展開じゃなかったな……」
俺はがっくりと肩を落とし、日本刀《銀ノ月》を鞘にしまうのだった。
「いやあ、助かったぜショウの字!」
「何だよその呼び方……」
五十五層《グランサム》の転移門前で、俺とクライン、ギルド《風林火山》のメンバーは集まっていた。
今回の依頼はこのギルド《風林火山》からの依頼で、レアなインゴットが採れるクエストへの共同挑戦だった。
とある鼠みたいな情報屋から買った情報によると、あのドラゴンを倒してもレアインゴットは出てこず、実はドラゴンの住処に落ちているだという。
入手するには、ドラゴンの住処に通じる横穴を見つけるか、ドラゴンの出現する穴からダイブするかのどちらかだけらしいので、俺とクラインがドラゴンの足止めをし、他のメンバーが住処を探す作戦に出た。
ドラゴンは夜行性という話を聞いていたが、俺とクラインがドラゴンの出現地帯をブラブラしていると、律儀に現れて来た。
微妙にナイスな展開じゃなかったのは、もしかしてドラゴンが眠かったからか……?
……まあいい。
とにかく、作戦が功を労したようで、ドラゴンを倒してからしばらくした後、大量のインゴットを手に入れたらしい風林火山のメンバーが現れたものだ。
クラインたちはギルド《風林火山》の戦略の増強、俺は手に入れたインゴットの二割と報酬を貰い、双方なかなかの収入だった。
「俺たちゃこれからどっかの店で、昼飯でも食いに行くけどよ。お前も来るか?」
「悪いな。ちょっと先約が入ってるんだ」
正直腹が減った俺にはクラインの申し出は魅力的ではあったが、先約があるというのは本当だ。
もっとも、昼飯の用事ではないのだが。
「お、そうか……じゃあ何かあったらまた頼むな」
「任せろよ。……転移! 《リンダース》!」
手を挙げてクラインたちに別れを告げ、俺は転移特有の眩いライトエフェクトに包まれた。
第四十七層《リンダース》。
のどかな街並みが特徴的で、ゴトゴトと揺れる水車が、どこか心を落ちつかせる効果を持った層だった。
猥雑な街の《アルゲート》にホームタウンを構えるキリトも、この層は気に入っていたようで、一時期はここに住んでいたらしい。
さて、俺は今日、友人の鍛冶屋兼メイサーのリズとの、『依頼が終わったらこの店にメンテナンスに来る』という約束を果たしに来たのだが……そのリズはと言うと。
「なんなんだコイツは……」
寝ていた。
もう少し具体的に言うと、店先にあるとても寝心地が良さそうな揺り椅子でうたた寝をしていた。
「はぁ……」
ため息を一つつきながら、肩を揺すってリズを起こそうとする。
こ
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