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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十話 最果ての果て
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だって知ってる。

 だけどコイツは、死に近づくことを生きがいにしているってタイプの狂者だ。

 そこには別に強さも弱さも関係ないはずだ。

 最強であることも、神話レベルの魔法を使う必要だってない。

 なのに俺との戦いでアイツは何度も打ち合ってみせた。

 自分は斬られず、相手を斬るために。

 それは間違いなく、生きることを諦めない人間の強い想いだ。

 死にたくないから剣を振るう。

 死にたくないから相手を斬る。

 そんな当たり前の恐怖を乗り越えるための剣戟。

 だから、矛盾してるんだ。

 納得できないでいた。

「……はっ」

 俺の問いに、アイツは馬鹿にした感じに鼻で笑った。

 そして傷だらけの身体を無理やり立ち上がらせ、両手でしっかりと剣を握り、残り少ない魔力を持って再び黒炎の剣を生み出す。

「んなもん――――負けるのは死ぬよりも嫌だからに決まってんだろ?」

「……」

 その一言で、俺はようやく納得がいった。

 ああ、そうだ。

 そうだよな。

 負けるって、悔しいよな。

 腸が煮え返るほど、
 
 喉が裂けるほどの絶叫をしたくなるほど、
 
 枯れるほど涙を流したくなるほど、

 もう、二度と思い出したくないって思うほど、

 いっそ、死んでしまいたいほど、

 敗北って言うのは、悔しくてしょうがないことなんだ。

 それはとても当たり前の感情だ。

「なるほど」

 だから俺は微笑ながら頷く。

「なんだ気持ち悪ぃ」

「俺よりも笑ってるお前に言われたくないからな!? お前も十分にキモイからな!?」

 怒り任せに叫ぶと、アイツは詫びる様子もなくため息を漏らす。

「……で? 聞きてぇのはそれだけかぁ?」

「そうだな」

「なら、そろそろ殺り合おうぜ?」

「ああ!」

 そうだ。

 終わらせるんだ。

 この戦いを。

 様々な人の想いや思惑が交錯したこの事件で、恐らく最も重要なこの戦い。

 それは終わらせなきゃいけない。

 俺の脳裏を、一人の少女の涙が過る。

 ――――助けて、黒鐘!

 独りで多くのものを背負い、傷ついてきた少女の涙を、俺は忘れない。

「あの子がこれから、笑顔で生きていくために!」

 俺は抜刀術の構えのまま、走り出す。

 足元に生み出した魔法陣を何度も蹴り上げ、その速度をあげる。

「天流・第陸翔」

 その途中で俺は神速の抜刀術を放つ。

 前方に放たれた半月状の斬撃。

 魔力を乗せてより巨大なものにして飛ばす。

 けど、それだけでは終わらない。

 すぐさま振り切っ
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