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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十話 最果ての果て
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は十分だった。

 やはり運命の鎖があったときほどの重みや衝撃はない。

 俺は再び駆け出し、アイツの懐へ飛び込んだ。

「せいっ!」

「やらせるかよぉ!」

 先ほどと同じ連続突きに、アイツは黒炎の鎧を身に纏い、俺の連続突きを耐える。

 そしてその間に黒炎を纏った刃を俺に向けて横薙ぎに振るう。

 俺は突きの軌道を変え、迫る黒炎の剣の側面にぶつけて軌道を逸らす。

 だが一撃では僅かに逸らすことしかできず、更に二撃入れたところで俺の真上を通り抜けた。

「そんな弱っちい突きで殺せると思ってんのかぁ? あぁ!!」

「その弱い突きにお前は飛ばされたんだぜ?」

「二度とそうはならねぇよぉ!」

「なら、二度目を味あわせてやる!」

 挑発のぶつけ合いをしながら、俺たちは光速の剣戟を繰り広げる。

 無数の剣線を描く刃と、弾丸のように発射される連続突き。

 それがぶつかり合って、細かい火花を散らしていた。

 驚くべきはアイツの剣捌きだ。

 突きで放たれる攻撃は、受け手からしたら小さな点が迫っているように見える。

 それが光速で迫る場合、回避をとるか盾を作って防ぐのがセオリーだ。

 だが、アイツは俺の突きを見切って自分の剣をぶつけている。

 点にしか見えないはずの光速の突きにピントを合わせている。

 攻撃は最大の防御。

 それを光速突き相手にやってのけているのだ。

「うおっ!?」

 そして振り上げた一撃に耐え切れず、俺の身体はふわっと宙を浮く。

 そこが大きな隙となり、勝利を確信したアイツは黒炎の剣で突きを放つ。

 俺の腹部に迫る刃。

 しかしそれは、真上から垂直に落下してきた俺の刀の衝突で外れる。

 更に俺はその隙に右掌の先に生み出した円形の魔法陣を高速回転させ、刃の代わりとしてアイツの右肩から左腰までの鎧を斬り、服を斬り、皮を斬り、肉を斬った。

 舞い上がる鮮血。

「ぐぁっ!?」

 それは間違いなく、アイツが食らった刃の中で一番深い一撃だった。

 武器としては非常識な、魔法陣によって生まれたダメージだ。

 俺は止まらず、足元に落下した刀の柄を蹴り上げ、刃をアイツに向けて放った。

 俺は知ってる。

 たとえどれだけ大きな武器が相手でも、恐れず踏み込んで放つ光速突きの技を。

 たとえ手元に武器がなくても、魔法を生み出す基盤となる魔法陣を武器とする戦法を。

 刀の剣術の先がないのなら、違う武器の先を目指せばいい。

 それは新たな武器の初心者からのスタートになる。
 
 だからこそ誰も、運命の鎖を超えられなかったんだ。

 至った世界を捨てて、登りきった山を
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