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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十話 最果ての果て
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(ホントに、アイツは凄いな)
灼熱の世界を作り出したイル・スフォルトゥーナに対し、俺は感嘆の言葉を漏らす。
限界を超えて、新しい可能性を見出した俺は、試合の勝敗をひっくり返すことに成功した。
そしてそのまま勝利へ――――なんて都合のいいことを考えていたが、そんな甘ったれた考えは易々とかき消されてしまった。
限界を超えた俺を倒すために、更なる限界を作り出すことで。
だからこそ思い知る。
自分の常識外の存在であると。
そして、俺が全てを超えて倒したいと思える好敵手であると。
「行くぞ!」
「来いやぁっ!」
互いに武器を握り締め、構える。
アイツは剣を両手で握り締め、八相の構えで攻撃のタイミングを伺っていた。
対して俺は使い物にならない左腕と言うハンデを持っていた。
右手だけで刀の柄を握り締め、切っ先を相手に向けて真っ直ぐに腕を伸ばした。
なんとか自力で運命の鎖を壊したとは言え、状況が逆転したわけじゃない。
魔力が回復したからって無双できますかと聞かれたら違う答える。
コンディションはある程度取り戻したものの、今までのように刀を振るって戦うのは危険だ。
空いた左は完全に隙になるし、そこを防御しながら戦うのは難しい。
運命の鎖なんてなくても、俺は既に刀を使った戦いのほとんどを奪われていた。
今までの天流は蜃気龍以外使えないだろう。
既に限界だ。
目の前に、分厚い運命の壁が現れた気分だ。
だけど、そんなことは関係ない。
――――だって俺は今、ワクワクしてしょうがないのだから。
腰を落とし、右手を体側に引き寄せる、刀をほぼ垂直に構える。
そして、相手の攻撃予測や気配を伺うなどの全ての読み合いを無視し、足場に展開させた魔法陣を一気に蹴り上げた。
10メートル以上はあっただろう俺たちの距離は一瞬で縮まり、
「せいっ!」
気合と共に弓から放たれた矢の如く真っ直ぐ突き出した。
「なっ――――ぐあっ!?」
その動きを捉えきれなかったアイツは腹部に突きの直撃を一発入れた俺は、間髪入れずに更に二発の連続付きを放つと、その衝撃を受けて後ろに飛んでいった。
飛ばされた先には黒炎の壁があり、彼はそこに叩きつけられた。
「っ……やろう」
流石にこの世界の生みの親がその炎で燃やし尽くされることはないようだ。
こちらを忌々しそうに睨みつけて体制を立て直している様子を見れば、どうやら俺の与えたダメージしか入っていないようだ。
逆に俺はあの炎の壁に当たったらヤバイだろうな。
だけど、今の連続突きで、自分の身体の感覚を理解するに
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