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SAO−銀ノ月−
殺害
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「つぅ……ぁあ!」

 丸腰になったリーベに新たな対策を講じられる前に、トドメを刺そうと倒れた彼女の心臓に向けて短剣をねじ込んでいく。しかして強制的にしゃがまされたリーベの手元にあったものは、取り落とされたままの日本刀《銀ノ月》だった。ニヤリと笑いながらも日本刀《銀ノ月》の柄を握り込むと、短剣を突き刺すべく追撃しようとしていた俺に、カウンター気味に振りかぶってくる。

「…………」

 お互いの武器が入れ替わった交錯は、リーベの胸部へ短剣が突き刺さるという結果に終わる。それも当然だ……超至近距離において日本刀が短剣に勝てるはずもないし、それ以上に、リーベは日本刀《銀ノ月》を振れさえもしなかった。それはただの筋力などのステータス不足にすぎなかったが、リーベの胸部へ突き刺した短剣からをを引きながら、彼女にそう言い放った。

「リズと俺のこれまでを、お前が簡単に振れると思うなよ」

「あー……あは、あははは。そう……だよねぇ……」

 改造に次ぐ改造でずっと戦ってきた日本刀《銀ノ月》を、リーベが使いこなすことが出来るはずもなく。そう事実を突きつけられたながらも胸部へ突き刺さった短剣を抜こうともせず、ただ倒れ込んで笑い出すだけのリーベからは、もはや戦う気を感じることは出来なかった。皮肉にも自身の得物である短剣からの貫通継続ダメージで、断続的に減っていくHPを見ながら、リーベは指で銃のポーズを取った……発射先は、自らの頭部だったが。

「でも……こんなんじゃイケないから、ね。ショウキくんのさ……ちょうだい」

 そうして彼女は持っていた日本刀《銀ノ月》を、力を込めて引きずるようにしながらも、立ち上がりながら俺に向かって差し出した。貫通継続ダメージでHPがなくなるより前に、あなたの手でトドメを刺して欲しい――という申し出に、俺は日本刀《銀ノ月》を受け取り、柄にしまいこむことで答えとした。もちろん見逃すつもりではなく、ペイン・アブゾーバーによって貫通継続ダメージの痛みが持続的に訪れているのか、定期的に苦悶の声を喘ぐ彼女を尻目に、俺は左腕がないものの抜刀術の構えをとる。

「じゃあ……ショウキくん。来て……」

 両手を大きく広げて迎え入れてくるリーベの首筋へと、躊躇なく白銀の刃が振るわれた。


「ショウキ……?」

 イグドラシル・シティに帰ってきた後、歌声に導かれて飛翔してきたリズが空中で見たものは、一人だけで立ち尽くすショウキの姿だった。その傍らにはプーカのリメインライトが灯っていて、ショウキ自身も左腕を初めとした負傷が目立ち、短いながらも激戦だったのだろうと思わせる。角度から後ろ姿しか見えないものの、リズの心中はある感情に支配されていた。

 ――間に合わなかった。

 そうした光景を見て、リズはそう思わ
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