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SAO−銀ノ月−
殺害
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ッターが働くほどのものと言えるが。

「……いや。《GGO》で見たあの踊り子の動きは、明らかに……《ナーヴギア》を使ったものだった」

「じゃあ……!」

 ただしその仮説は、他ならぬ《GGO》でリーベと対峙したキリトによって否定され、メンバーの中でも最悪の可能性が頭をよぎっていく。そして最初からその可能性しか頭の中に存在していなかったリズは、我が意を得たりとばかりに振り向き訴えた。

「だから! アイツはショウキに自分を殺させるつもりなのよ!」

 安全装置のない《ナーヴギア》と服用者に現実の痛みを与えるデジタルドラッグ、しかもそのオーバードーズともなれば、現実の肉体が再起不能になるほどの痛みを脳に与えることは不可能ではない。そうすることでリーベはVR空間で死を迎え、ショウキは今度こそ人間を殺す痛みをその身に刻みつけることになる。さらにデジタルドラッグを服用したとして、運営にアバターを削除されたショウキは……どうなってしまうだろうか。

「早く、早く帰ってショウキに伝えなきゃ!」

「……待って、リズさん!」

 何にせよダンジョンではメッセージも打てずに、よしんば打てたとしてもリーベと決着をつけているショウキが、戦闘中にメッセージを見ることはないだろう。とにかくイグドラシル・シティで彼を見つけ、リーベとの戦いを止めなくてはならない。そう逸ってダンジョンを走ったリズの耳に、レコンからの警告の声が響き渡った。

「敵だ。多分……全戦力」

「アイツらの決着を邪魔させねぇ、ってか……!?」

「……いっそのこと死に戻りする? リスポーンはイグドラシル・シティでしょ?」

 デジタルドラッグの服用者だと思われる、ダンジョンを取り囲むプレイヤーたち。今までとは数も包囲網の質の違いは、先の適当な探索はこの本命まで戦力を温存していたことを示しており、イグドラシル・シティに行かせまいとしているようで。レコンの索敵を可視化したものを見たクラインが舌打ちするとともに、グウェンから戦いを回避しつつイグドラシル・シティに戻る、死に戻りという手段が提示される。

「いや、死に戻りじゃ間に合わない。俺たちが援護するから、とにかくリズは突破してくれ。アスナにルクスは、リズの直衛を頼む」

「任せて!」

「は、はい!」

 キリトがクラインとエギルを連れ添って前に出るとともに、アスナとルクスに指示を送りながらダンジョンを出る体勢を構える。速攻でダンジョンから脱出してこちらから攻撃を仕掛けて、あちらの動揺を誘う思惑らしく、エギルにクラインも腕がなるとばかりにニヤリと笑ってみせた。

「お兄ちゃん、私も……!」

「いーや、こっちは男どもに任せな。リーファは麻痺毒で動きを止める、肝心のレコンにグウェンの援護を頼むぜ
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