第百十三話 茶番の終了と亀裂の始まり
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。そして今回の叙勲者達は文官、武官に挟まれるように立ち尽くしているが、殆ど者が緊張を隠せない状態で有る。
古風なラッパの音が黒真珠の間に響く。その音とともに参列者は皆姿勢を正した。
「全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護
者、神聖にして不可侵なる銀河帝国フリードリヒ四世陛下の御入来」
式部官の声と帝国国歌の荘重な音楽が耳朶を打つ。そして参列者は頭を深々と下げる。
ゆっくりと頭を上げると皇帝フリードリヒ四世が豪奢な椅子に座っているのである。
陛下がゆっくりと立ち上がりお言葉を述べる。それを聞く皆が皆、緊張の趣である。
「この度は、卿等の活躍により、帝国に巣くう害毒を撲滅でき、誠に目出度き事じゃ、この事をなし得た卿等の献身、余はとても嬉しく思うぞ。此を期して帝国の有り様を良きモノとする事にする。卿等の功績を称えて、此処に褒美を取らす」
皇帝の言葉を受け継いで、リヒテンラーデ侯が褒賞者を読み上げる。
「憲兵隊総監グリンメルスハウゼン大将」
グリンメルスハウゼン大将がフリードリヒ4世の前に進み出る。
「今回の憲兵隊の働き、誠に見事じゃ、そちに双頭鷲勲章を与え、上級大将へ昇進と伯爵に叙爵する」
皇帝の言葉にグリンメルスハウゼン大将は深々とお辞儀を行い御礼を述べる。
「ありがたき幸せ」
「内務省警察総局長ハルテンべルグ伯爵」
ハルテンべルグ伯がフリードリヒ4世の前に進み出る。
「今回の警察の働き、誠に見事じゃ、そちに双頭鷲勲章を与え、侯爵に叙爵する」
皇帝の言葉にハルテンべルグ伯は深々とお辞儀を行い御礼を述べる。
「ありがたき幸せ」
ハルテンべルグ伯爵としては、妹の婚約者カール・マチアスの麻薬密売を彼の兄フォルゲン伯爵と共に闇から闇へ葬り去ろうとした事が、陛下にばれた時点で死を覚悟していたのであるが、陛下の温情でマチアスの密売行為は全て演技という形で纏めていただき、爵位まで上昇したのであるから、これからは何があっても陛下のお役に立たねばと、心の底から感謝していたのである。
次々に叙勲や叙爵されていく関係者達次に呼ばれたのは。
「帝国軍中佐カール・マチアス・フォン・フォルゲン」
カール・マチアス・フォン・フォルゲンが少々オドオドしながら、フリードリヒ4世の前に進み出る。
「今回の卿の囮捜査、誠に見事であった。そちの囮がなければ、サイオキシン麻薬密売組織撲滅は不可能であたろう。そちに双頭鷲勲章を与え、少将へ昇進とランツベルク子爵に叙爵する」
如何にも、サイオキシン麻薬密売組織撲滅がカール・マチアス・フォン・フォルゲンの手により検挙された様に皇帝は賞めるのである。その為貴族社会でカール・マチアス・フォン・フォルゲンの名前はあっという間に広がってい
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