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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
94部分:第九話 陳宮、呂布と会うのことその四

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第九話 陳宮、呂布と会うのことその四

 陳宮はその魚を必死に食べている。それを見ながら名乗ってきた。
「呂布」
「呂布というのですか」
「恋の名前」
 共に真名も言ってみせたのだった。
「字は奉先」
「陳宮なのです」
 陳宮もそれに応えて名乗った。
「字は文遠なのです」
「そう」
 呂布はそれを聞いてからまた言った。
「どうしてここに」
「それは」
「若し行く宛がないのなら」
 こうその陳宮に対して話す。
「一緒に来るといい」
「呂布殿とですか」
「そう。一緒に来る」
 陳宮に対して告げる。
「行く宛がないのなら」
「いいのですか?」
 問い返さずにはいられなかった。
「それで」
「いい」
 また言う呂布だった。
「だから来る」
「有り難うです」
「御礼もいい」
 それもいいというのだった。
「だから来る」
「この子も一緒なのですか?」
「うん」
 自分の愛犬を指し示した陳宮に対して静かに答えた。
「勿論。じゃあ行こう」
「わかりましたなのです」
 こうして陳宮と愛犬は呂布と共に長安に戻ることになった。彼女はその戻る中でふと呂布に対してあることを尋ねたのである。それは。
「あのです」
「何?」
「呂布殿はどうしてここに?」
「どうして?」
「はい、どうしてここにいるのですの」
 このことを問うたのである。
「それは一体」
「山賊退治」
 それだというのだ。
「それと」
「それと?」
「おかしな気配も感じた」
 このことも言うのだった。
「今までに感じたことのない気配」
「今までにですの」
「月と詠にも言った。人とは少し違う気配」
 こう言うのである。
「それを感じたからここまで来た」
「山賊退治のついでにですか」
「そう」
 ぽつりと答えた。
「その通り」
「おかしな気配ですの」
「蛇に似た感じ」
 それだというのだ。
「それと」
「それと?」
「他にもいる。邪な存在が」
 呂布の言葉が続く。
「この世のものではない存在や不気味な存在が」
「確かに今は不穏な情勢なのです」
 それは陳宮もわかっていることであった。
「漢王朝の権威は衰えていますし」
「それだけじゃない」
「そして」
 そしてであった。
「そうした存在も確かにいる」
「妖術使いの類ですの?」
「近い」
「それなら特に心配することはありませんぞ」
 陳宮は腕を組んで胸を張って述べた。その小さな身体で言っているのだ。

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