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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十八話 限界
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ヴァテインとなった剣から放たれる炎が、建物の壁や窓を溶かしていく。
身動きひとつ取れない俺は、それをただただ見つめることしかできない。
そして――――
「インフェルノ・ラグナロクッ!!」
ある神話の世界での終わりを指す魔法が、宙に浮いた俺に目掛けて振り下ろされた。
足場を失った俺は避けられない。
左手は使い物にならず、右手に握った刀すら満足に震えない。
俺にできた最後のわずかな抵抗は、残された魔力を全て右腕の身体強化に回し、刀の姿で存在し続けるアマネを振り上げて受け止めるだけ。
触れた全てを焼き尽くし、切り裂き、破滅させる炎の奔流が俺を飲み込み。
俺の意識は暗転していった。
*****
「黒鐘、君……」
なのはが、
「なん、で……」
雪鳴が、
「お兄、ちゃ……ん」
柚那が、
「黒……鐘……」
そしてフェイトが、
目の前の光景に、少女たちは驚愕と恐怖に染まり、その顔は血の気を失ったように青白くなっていった。
モニターは漆黒の炎で埋め尽くされ、状況を読み取ることはできない。
だが、その前の出来事は覚えている。
彼はある瞬間から防戦一方になり、押されていき、そしてモニターを覆い尽くすほどの炎に飲み込まれてしまったのだ。
ユーノは口を開けて目を見開き、アルフは両手を口に当てて込み上げてくる感情を無理やり押さえ込む。
リンディは自らの立場もあって何とか平静を装うが、両手は血が滲むほど強く握り締めていた。
だから、ただ一人。
「遂に来ちまったか、坊主」
全てを悟り、理解しきった様子で淡々とした様子でモニターを見つめていた、ケイジ・カグラにみんなの視線が集まる。
この光景、この現実こそ、まさにケイジが予見していた未来そのものだったからだ。
「ケイジさんはなんであんなことになったのか分かるんですか!?」
歩み寄りながらケイジさんに声を上げてなのはは聞いた。
他のみんなも同じ問いを抱いているようで、ケイジの回答を待った。
ここまでくれば、話さないわけにはいかない。
ケイジは静かに頷き、そして答えた。
「坊主は辿り着いたのさ。 自分の限界の頂きに」
「限界の頂き?」
「人は誰もが限界を超えて強くなる。 限界を超えた先でまた限界がきて、それをまた超えて更に強くなる。 それを繰り返して人は分厚い層を持った強さを手にする。 それは登山のように一歩ずつで、何合目かで限界がきて、そこで諦めるかどうかを問われるタイミングがある。 それを諦めないで登った連中が、いわゆる達人の領域に至っていくわけだが……坊主はその山の頂上に
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