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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十八話 限界
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!」

 アイツの怒声がすぐ近くに聞こえ、俺は慌てて正面を向いたが、遅かった。

 既に左から横薙ぎに迫るアイツの剣。

 俺は慌てて刀を盾にするように構えるが、まともな防御はできず、防御ごと打ち飛ばされる。

 まるで野球やゴルフのボールになった気分だ。

 そのくらい勢いよく飛ばされた俺は、無人のマンションの屋上に背中から叩きつけられ、その壁を破壊し、更に下の階まで落下した。

「ぐっ……がは、けほっ……げほっ!」

 肺の酸素が衝撃で一気に失い、何とか吸い込もうとするが、破壊した壁から出た砂煙を吸い込んでしまい、咳き込んでまともな呼吸ができない。

 しかも受け身すらうまくとれなかった俺は、恐らく左腕を肩から折ってしまったみたいで動かせない。

 今はアドレナリンの影響で痛みを感じないけど、後ですごく痛くなるだろう。

 そんなことを思いながら、俺は右手で握ったアマネを使って、俺の上に乗った岩をどかしていく。

「はぁ、はぁ、はぁっ……」

 すぐに来るであろう追撃に備え、俺は立ち上がり、腰を落として下段の構えを取る。

 両手で握れなくなったのも原因だろうが、先ほどから俺を縛るもののせいでアマネが『重い』。

 五年以上、ずっと振り続けていた武器が、今更になってものすごく重いと感じる。

 正直、真っ直ぐ振るうのもキツイだろう。

 先ほどまで完璧だったコンディション。

 先ほどまで限界を超えていた戦い。

 それがまるで夢だったように、俺の体は不自由になっていく。

「まさか」

「おらぁっ!!」

「っ!?」

 脳裏をよぎった予想を振り払うように、俺は目の前に迫る刃を弾いていく。

 正面でぶつけ合うことはできない。
 
 ならやることは先ほどと変わらない。

 相手の刃の側面を叩いて軌道を逸らしていく。

 例えどれだけ身体がうまく動かなくなっても、できることを模索して実行していく。

 それが悪あがきなのは分かってる。

 だけど、諦めなければ必ず勝機は見いだせる。

「せいっ!」

 そして紡いでいくなかで生まれた隙に、渾身のひと振りを

「遅ぇ」

 アイツの短い言葉と同時に振るわれた一閃で、俺の視界が大きく歪む。

 首から下を襲う、今までにないほどの熱と、それに伴う痛み。

 身体は重力を失ってふわりと浮かび

「終わりだ」

 アイツの刀身で逆巻く炎。

 更にその周囲で生まれる無数の炎の刃。

 小太刀ほどのサイズの剣が九つ生まれ、振り上げられた剣と同じ動作を取る。

 これが恐らくアイツにとっての必殺技。

 アイツは自らの奥義でトドメを刺しに来たんだ。

 レー
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