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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十八話 限界
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 もはや何度目かになるかも分からない相打ち。

 一体何度、何十、何百、何千回、刃を擦れ合わせただろう。

 一体何度、何十、何百、何千回、全力の一閃を振るっただろう。

 それでも、目の前の強敵は倒れない。

 もちろん、この場にいる俺も倒れない。

 一歩も退かず、一瞬も臆さない。

 より速く、より強い、目の前の敵より速く、強く。

 そして何より、今の自分の限界よりも更に先へ。

 俺たちは際限なく高め合う。

 これから何年、何十年とかけて高めていくはずだった場所へ至り続けてぶつけ合う。

 不思議だ。

 最初はあんなにも分かり合えなかった俺たちは、今は競い合い、高め合い、そして殺し合っている。

 それに対して不快感がないのだ。

 どうやら俺も、とうとう狂ってしまったらしい。

 狂った者同士、もしかしたら仲良く出来たかもしれない。

 だけど俺たちはそうなれない。

 勝者は一人だ。

 頂きを見れるのはただ一人。

 勝者は全てのジュエルシードを手にし、敗者は死ぬ。

 故にたった一つの席を求め、俺たちはより一層加速する。

「「っ!?」」

 ここ一番で大きな音と衝撃。

 しかしまだ決定打にならない。

 だけど、

(あ……れ…………?)

 俺は心の中で、僅かに生まれた違和感に気づく。

 手に響いた衝撃が、今までの中で大きく感じた……気がした。

 それを気のせいだと振り払って再び光速の剣戟が始まる。

 しかし、

(また、だ……)

 両手に響く衝撃が、明らかに強くなってる。

 いや、それだけじゃない。

 痛みと重みが、徐々に大きくなっている。

 それでもまだまだ対応できてる。

 捌ききれない一閃がきても、俺には天流がある。

「天流・第参翔 魔払ノ鏡!」

 衝撃に合わせて身体をコマのように回転させ、受け止めた相手の攻撃を上乗せした一閃を放つ。

 それに対し、アイツは燕返しで迎え撃つ。

 対等の攻撃同士ならば、再び光速の剣戟に戻る。

 体制を立て直せる――――はずだった。

「ぐあああああっ!!」

 その均衡は崩れた。

 激しい衝撃と痛みが刀身から全身を襲い、俺の体は海へと落下した。

 俺はアイツとの技のぶつけ合いで負けたんだ。

 カウンターのタイミングが悪かった?

 回転が甘かった?

 いや、違う。

 俺はアイツの燕返しを超える威力で、魔払ノ鏡を発動できなかったんだ。

 不十分な力で受け止めてしまったから、威力の低い技になってしまった。

(今の、は……なんだ!?)

 その時、俺は見てしまった
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