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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十七話 決戦
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 限界に到達しても、俺たちは咆哮をあげながら剣戟の速度を上げていく。

 俺たちが数人増えたと錯覚してしまうほどはっきりとした残像が生まれる速度。

 俺が使う天流のほぼ全てが『速度』が基礎として必要とされ、こうして残像が生まれる代表的な技として第弐翔・蜃気龍が当てはまるだろう。

 だけど今は蜃気龍で使う速度の倍以上は速い実感がある。

 それを肉眼で捉えるのは、模倣から培った見切りの目があるからだ。

 だけどアイツに模倣の目はない。

 それでも俺の速度についてきて、尚も速くなってる。

 出会った最初は狂っただけの男だと思っていたが、認識を改めなければいけない。

 コイツは間違いなく天才だ。

 俺みたいな色んなものを利用して戦うような姑息な魔導師とは違う。

 どんな戦略も技も、その才能が生み出す剛の魔法と剣で切り裂いてしまうのだろう。

 そしてアイツはこの状況で更に成長し、ついに俺との剣戟の中で技を発動するまでに至った。

「行くぜっ!」

 無数の剣戟を繰り広げながらも生まれた刹那で、アイツは上段の構えをとり、刀身に魔力を込めた。

 アイツの刀身に込められた魔力はこれまでにないほど高い質量を誇り、そこから生み出された漆黒の炎は今までの比じゃない。

 炎すら飲み込む炎。

 その炎には不思議と引き寄せられるような感覚が襲ってくる。

 そして、きっとそれは錯覚ではなく事実。

 質量の軽い塵や灰、先ほどまでの剣戟で擦れ飛び散った刀身の破片などが現実に炎の剣に引き寄せられていたからだ。

 それは手品ではなく、引力だ。

 強力にして強大すぎる熱エネルギーによって周囲の磁場が乱れ、それによって引力が発生したんだ。

 そしてアイツの刃に引き寄せられた塵や灰は静電気に触れた時のようなバチっと言う音を立てながら消失する。

 それは高い熱によって燃え、液体から気体になるまでの流れが一瞬よりも早く行われたからだろう。

 触れただけで消滅する炎。

 きっとこの世界でそんな炎を生み出せるのは彼だけで、だからこそその魔法に名前を付けるのであれば――――、

「インフェルノ・レーヴァテインっ!」

 破滅の炎を持ったとされる神話の剣の名は、まさに相応しいと言えるだろう。
 
(凄いな)

 俺は眼前に迫る破滅を前に、素直に賞賛の言葉が浮かんだ。

 狂った思想を持ちつつも、その技術や技、魔法は目を張るものがある。

 地道に努力をして、技術を磨かなければ強くなれない俺とは大違いだ。

 アイツはきっとその技を感覚で身につけたのだろう。

 出そうと思って出せたと言う程度の、天才ならではの到達。

 思えば俺の周りはそん
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