第二章
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「別にいいわ」
「じゃあ今も」
「聴かせてもらうけれど」
一恵の歌、そしてギターをというのだ。
「それでもね」
「歌わないのね」
「そうするわ」
「じゃあじっくり聴いてね」
一恵はにこりと笑ってだった、そのうえで自分が作曲した曲を歌いはじめた。それはロックしかもカンロリーロックのものだった。
一恵はこの時も他の時も大阪で歌い続けた、それはこの時も同じで大阪城で路上ライブを行ってだった。
一曲歌い終わってからだ、聴いてくれた客達にギターを持ったままで満面の笑みでこう言ったのだった。
「今日も聴いてくれて有り難うね」
「こっちに来たの久し振りだよな」
「最近難波で歌うこと多いんだって?」
「またこっちにも来てくれよ」
「大阪城の方にも」
「ええ、今度もここで歌うから」
ライブを行う場所はというのだ。
「聴いてね」
「おう、待ってるぜ」
「また来いよ」
「それでギターも聴かせてね」
聴いていた者達は一恵に明るい声を送った、これはこの大阪城だけでなく他の場所でもそうだった。
難波で歌った時もその暖かい声を受けた、そして周りを見回してからだった。一恵はこんなことも言った。
「ここで歌えるてね」
「いいんだな」
「そう言うのね」
「ええ、最高よ」
本当にというのだ。
「大阪のあちこち、ここでだって」
「難波駅の前でも」
「そうなのね」
「大阪って何処にも人がいてくれて」
そしてというのだ。
「馴染める場所だから」
「それはそうだな」
「この難波だってそうで」
「道頓堀もそうで」
「あと大阪城も京橋も」
「住吉さんだって」
住吉大社を大阪人はこう愛着を込めて呼ぶのだ。
「何処だってね」
「暖かいよね、確かに」
「人情っていうかそれが感じられて」
「景色の一つ一つが」
「その中で歌えるからよ」
それでというのだ。
「私大阪で歌いたいの」
「ずっとか」
「そうだっていうのね」
「そうなの、こうしてね」
さっきまで歌っていた様にというのだ。
「暖かさも感じて歌えるから」
「だから大阪はいい」
「大阪で歌うことは」
「そうだっていうのね」
「そうなの、じゃあもう一曲ね」
歌うと言って実際にだった、一恵はもう一曲歌った。この日の難波でも路上ライブも満喫した。その次の日は。
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