第一章
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
路上ライブ
東京の話を大学のキャンバスの中でギターの練習をしようとしていた時にベンチで聞いてだ、肥後橋一恵はすぐに不機嫌な顔になってその話をした友人に対してこう言った。
「確かに私プロデビューするけれど」
「大阪は離れないのね」
「所属するのは大阪の事務所だし」
「東京に行くことはあっても」
「あくまで拠点はね」
活動のそれはというと。
「ここよ」
「大阪なのね」
「大阪から離れないから」
「あんた大坂好きだからね」
「大好きよ、というか東京は子供の頃に行ったけれど」
「あまり好きになれかったの」
「どうもね」
家族で旅行に行ったその時にというのだ。
「だから大学を卒業してもよ」
「プロでデビューしても」
「そう、働きながら活動するし」
音楽だけで食べていけるとは思えないからだ、一恵はデビューしてもそうして生活をしていくつもりなのだ。
「難波の音楽のお店でね」
「御堂筋の」
「アルバイトしてるね」
「そのまま就職するつもりなの」
「店長さんもそう言ってくれてるし」
このことを幸いとしてというのだ。
「それでよ」
「大阪で働いてそうして」
「大阪で活動していくから」
「本当に大阪から離れるつもりないのね」
「ないわ」
実にはっきりとした返事だった。
「私はね」
「東京ってやっぱり人も多くて」
友人は意固地なまでに言う一恵に返した。
「歌える場所もね」
「ステージも路上で歌える場所もよね」
「日本一多いのに」
「ひょっとしなくても世界屈指よね」
「それこそね。それでもなのね」
「私は東京嫌いだから」
またこうしたことを言った一恵だった。
「だからよ」
「東京にはいかないで」
「ここで活動していくから」
「じゃあ路上ライブも」
一恵が活動の一環としているそれもというのだ、他にはニコニコ動画でボカロとして活動してもいる。
「大阪でなの」
「してくわ、はっきり言って大阪で歌うこそがね」
一恵にとってはというのだ。
「最高だから」
「それでなのね」
「私大阪から動かないから」
拠点はあくまでこの街だというのだ。
「それは絶対だから」
「じゃあ今度の路上ライブは何処なの?」
「梅田よ」
そこだというのだ。
「そこで歌うから」
「そうするの」
「そう、その次は京橋よ」
「大阪城でも歌うわよね」
「あそこでも難波でもね」
そうした場所でもというのだ。
「住吉神社でも道頓堀でもね」
「本当に色々な場所で歌うわね」
「大阪のね」
「そんなに大阪の街で歌うのがいいの」
「いいわよ」
ここでも即答で返した一恵だった。
「あんたも一回やってみたらいいのに」
「私はいいわよ」
友人は笑
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ