ペルソナ3
1832話
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1人で笑っている幾月を見て、不気味に思ったのだろう。ゆかりがそう尋ねてくるも……
「そう言ってもな。今の幾月に話し掛けるのは、俺はちょっと嫌だぞ? もし本当にどうしても何とかしたいと思うのなら、ゆかりが声を掛けてみたらどうだ?」
「え、嫌よ」
あっさりとそう返してくるゆかり。
うん。まぁ、ゆかりにとっても今の幾月に話し掛けたくないと思うのはしょうがないだろうが、だからと言って人にやらせるのはどうかと思う。
それでいて、自分はやれと言われば嫌だというのは……いやまぁ、ゆかりくらいの年齢の女が幾月のような年齢の男に気軽に話し掛けるのが難しいというのは、分かるが。
それと、幾月の場合はゆかりの父親と何だか関係があった……というのも、大きいだろう。
そうこうしている内に、12時になり……次の瞬間、影時間になる。
もう慣れてしまったから、特に驚きもない。
だが、俺が初めてゆかりに会った時のように、何も知らない者がいきなりこの影時間に投げ出されれば、間違いなく混乱するだろうな。
そんな風に考えていると、やがて階段から桐条と真田が姿を現す。
2人とも、身軽で動きやすい格好をしている。
それでいて、桐条は……レイピアってのか? そういう系統の、突きに特化した剣を持ち、真田の場合は革グローブを両拳に嵌めている。
お互いの戦闘スタイルがこれ以上ない程に分かりやすい装備だった。
「準備は整った。では、行こうか。……アルマー、頼む」
「ああ。2人共俺の近くに。ゆかりと荒垣は、いつもの事だから言わなくても分かってるな?」
その言葉に、桐条達は微妙に緊張した様子で、ゆかりと荒垣の2人はもう慣れたものだといった様子でこっちに近づいてくる。
当然それぞれ、靴も手にしてだが。
「理事長、では行ってきます」
「ぷっ、くくっ、最近駄洒落のキレがいいな。……うん? ああ、分かった。くれぐれも怪我をしないように、気をつけて行ってきなさい」
幾月も、桐条の声は判断出来るのだろう。その呼び掛けに、あっさりとそう答えてから、再び自分の世界に戻っていく。
……本当に、自分に正直というか、何というか……
個人的にはそういう性格は嫌いじゃないんだが。
ただ、それでも駄目なんだから、やはりこれは生理的に受け付けない相手なのだろう。
ともあれ、全員の準備が整ったと判断して影のゲートを展開する。
「なっ、これは!?」
「おわぁっ!」
桐条と真田が、影に沈んでいく感覚に悲鳴を上げる。
ゆかりと荒垣は、そんな2人に同情の視線を向けていた。
自分達も通ってきた道なのだから、それも当然なのだろうが。
自分の世界に没頭していた幾月も、2人の叫びで我に返ったのだろう。
こっちを見なが
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