90部分:第八話 董卓、城を抜け出すのことその十二
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「うちで飼わない?兵隊さん達と一緒に警護にあたってもらうってことで」
「犬や猫を?」
「ええ。それでどうかしら」
「けれどそれは」
賈駆はそのことを聞くと困った顔になった。
「それ位のお金はあるし」
「ううん、犬とか猫は」
何故か困った顔になる賈駆だった。
「僕、あまり好きじゃないっていうか」
「駄目なの?」
賈駆の言葉を聞いた董卓は困った顔になった。
「それは」
「駄目って訳じゃないけれど」
「御願い、詠ちゃん」
うるんだ目での言葉だった。
「放っておいても可哀想だし」
「うう、そう言われたら」
「警護も手伝ってくれるし。それに皆も楽しめるし」
犬や猫はいるだけで人の癒しになるのである。賈駆もそれは知っているのだ。
「だから」
「わかったわよ」
遂に賈駆も折れた。
「それじゃあいいわ。擁州で置きましょう」
「有り難う、詠ちゃん」
「けれど勘違いしないでよ」
ここからが賈駆の真骨頂だった。董卓から顔を背け腕を組んで言い返す。
「今回だけだからね。本当だからね」
「詠ちゃん大好き」
しかし董卓は賈駆のその言葉を聞いて満面の笑みになってだ。そのうえで彼女に抱きついたのである。
「有り難う!」
「だから勘違いしないでよ」
まだ言う賈駆だった。
「今度だけなんだからね」
それでも董卓のその頬を摺り寄せてくるのにはまんざらではないようである。素直ではないがそれでもそれは誰が見てもわかるものだった。
そして呂布もそれを見てだ。静かに二人のところに来てだ。
そのうえで賈駆に頬を摺り寄せてきた。二人で彼女を囲む形になっている。
「ちょっと、何であんたまで入って来るのよ」
「皆でいると楽しい」
だからだというのである。
「だから」
「わかったから。犬も猫も面倒見るわよ」
賈駆は二人に抱かれながら言った。
「だからもう離れてよ。あっ、月はいいから」
「うん、詠ちゃん」
こうして化け物の話は終わった。関羽達は董卓達と別れ今度は洛陽に向かうことにした。そしてそこでは思わぬ再会が彼女達を待っていたのであった。
第八話 完
2010・4・21
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