侍娘-クリスティナ-part1/侍のお嬢様
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と来る物言いにハルナは怒りたくなったが、自分とアキナのやり取りなど他者から見れば奇妙な一人二役にしか見られない。
「そう、話せることじゃないのね」
しどろもどろなハルナに、ルイズは悟った。軽く喋っていいことじゃないことではないということだと。
「…ごめんなさい。これはさすがに、私の口からじゃ話すことは無理です。せめて本人から許可をもらわないと、後でどうなるかわからないから…」
ウルトラマンの正体はうかつに明かしていいものではない。それがたとえ知りたがっている相手が近しい存在で、口が堅い人だとしても。そのリスクの重さは、ハルナもサイトと同じ世界の人間だからよく知っている。むしろシュウのように、ギーシュたちと二度と会うつもりがなかったからという理由で、目の前だろうと遠慮なしで変身するようなケースとは違う。
「わかった。無理を言って悪かったわね」
「いえ…」
ルイズは考える。しかしそうなると、ウルトラマンゼロとは一体誰なのか、どこで何をしているのだろうか。これまでこの世界で出現したウルトラマンたちの共通の特徴を思い出してみる。
サイトの話だと、ウルトラマンはその姿を保つのに著しくエネルギーを消費するため、おおよそ3分の間しかあの巨体を保てないらしい。人々への危害を最小限で抑えるため以外にも、そういった理由もあって短期決戦を求めている。
(そのエネルギーを抑える手段として、人間の姿で普段は過ごしているということなのかしら?それに人の姿をしていれば目立たなくて済むし…)
そこまで考えたときだった。ふと、サイトの姿が中庭にあったのを見つけたのは。
「平賀君…!」『サイト!』
「サイト?」
ルイズ、ハルナ、そして疲れて彼女の奥に引っ込んでいたはずのアキナが反応を示す。
「おーい!平賀!………君?」
窓を開けたハルナが手を振って呼びかけてみようと思った…が、すぐに思いとどまらされた。なぜかその先を止めたハルナに、ルイズは怪訝な視線を向ける。窓の外に、鳥が固定魔法でもかけられたかのように、空中で停止している光景でも見たのか?
「どうしたのよ。何か変なものでも…」
ルイズも窓の外を見下ろして、ハルナが何を見たのか確かめた。その途端だった。彼女もハルナとまったく同じ表情を浮かべた。
なぜなら、彼のそばにはこのとき…
女の子が一緒に歩いていたのだから。
面白いくらい瞬間的に、驚愕の表情を露にしたルイズとハルナ。ハルナの心の奥から見ていたアキナも同じ顔を浮かべていたに違いない。
サイトと同伴している女の子は袴という、現在の地球でもあまり見かけない服装をしているが、遠くからでもわかる美貌でサイトと楽しげに会話していることの方が彼女たちにとって重要だった。
表と裏共に、ハルナはサイトに、知っての通り惚れている。そんな男が他の女と…それも
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