89部分:第八話 董卓、城を抜け出すのことその十一
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第八話 董卓、城を抜け出すのことその十一
「それが名前」
「しかし何故こんなことを」
「ここでしたのよ」
香澄と舞がそれを問う。
「村から食べ物を奪うなんて」
「あのワンちゃん一匹だけですか?」
「一匹だけじゃない」
呂布がこう言うとであった。不意に彼女の側に無数の犬達や猫達が出て来た。そのうえで彼女の足元にじゃれついてきたのである。
「皆いるから」
「皆さんがですか」
「皆養わないといけなかった。けれど恋」
少女に応える中で言ったのだった。
「メイドとかできないから」
「何となく以上にわかるな」
キングは彼女の言葉を聞いて頷いた。
「これではメイドは無理だ」
「しかし恋って何なのだ?」
「真名」
それだというのであった。
「一応言った」
「そうなのだ。それが御前の真名なのだ」
「そう。それが私の真名」
彼はまた言った。
「だから」
「事情はわかりました」
ここで少女が言った。
「呂布さんはそれで今まで」
「ああ、いたいた」
ここで兵士達達が来た。そしてである。
その先頭には賈駆が来た。そうして少女のところに来て。
「月!探したわよ」
「あっ、詠ちゃん」
「あっ、じゃないわよ。あっ、じゃ」
その少女に駆け寄りながらの言葉だった。
「もう、擁州の牧がこんなところまで何をしてるのよ」
「何っ、擁州の!?」
「やはりな」
関羽と趙雲の言葉は正反対だった。
「そうだったか」
「あれ、あんた達は」
賈駆は一行にも気付いた。
「何なの?」
「この人達はですね」
「見たところこの国の生まれじゃないのもいるわね」
賈駆はもうそのことを見抜いていた。
「擁州にも来たのね、そういう人が」
「そうね。それでだけれど」
「ええ、それでよ」
「この人達は私を助けてくれたの」
少女は賈駆にこのことを話した。
「そしてこの人はね」
「この人は?」
今度は呂布に顔を向けての言葉である。こうして一部始終を話してそのうえでだ。あらためて村の長老のところに戻ってあらためて話をするのだった。
「皆さん」
文官の服だった。丈が長いえんじ色のスカートに紫の上着、袖はダークグリーンで帯もえんじ色だ。白いマフラーまでしているという見事な服である。頭には冠とヴェールまである。その彼女が誰かというとであった。
「お待たせしました、董卓です」
「何っ、董卓だと!?」
関羽は董卓と聞いて思わず声をあげた。彼女は今は用意された見事な席の前にいる。その横にはしっかりと賈駆が控えている。
「擁州の牧のか」
「はい、隠していてすいません」
「月、いえ董卓様はね」
その横から賈駆が説明してきた。
「時々お忍びで外に出てそれで下々を見回るのよ」
「そうなの
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