85部分:第八話 董卓、城を抜け出すのことその七
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第八話 董卓、城を抜け出すのことその七
「それではだ。その化け物退治やらせてもらう」
「御願いできますか」
「最初からそのつもりで話を聞かせてもらった」
彼女は腕を組んでいる。そのうえでの言葉だった。
「では。皆もそれでいいな」
「化け物じみた相手はこれまでにも何度も会った」
「ええ、戦いには慣れているから」
「相手が誰でもやらせてもらいます」
キングに舞、香澄はそれでいいというのだった。
「私は行かせてもらう」
「私もよ」
「是非共」
「私もです」
ナコルルはにこりと笑って答えた。
「やらせてもらいますから」
「それではだ」
趙雲は四人の言葉を聞いてだった。そのうえで今度は関羽と張飛に顔を向けた。そしてあらためて二人に対して問うたのであった。
「御主達はどうするのだ?」
「どうするかとは?」
「何がなのだ?」
「御願いできますよね」
趙雲が言う前にだった。少女が出て来て二人に言ってきた。すぐにであった。これには趙雲も内心驚くものがあった。言葉としては出さないが。
「是非。村の人達の為に」
「村の人達の為か」
「人の為に」
「御願いします」
二人をじっと見詰めての言葉だった。目を潤ませながら。
「是非」
「そ、そうだな」
「鈴々達もやらせてもらうのだ」
二人に溢れんばかりの義侠心があるのは確かだ。そして少女の目に負けた。これで全ては決まりだった。
一行は化け物が潜んでいるというその廃寺に向かった。夜であり周りは真っ暗である。その仲であれこれと話しながら進んでいた。
「ううむ、暗いな」
「全くなのだ」
「今にも出てきそうなのだ」
「けれどそれでもなのだ」
関羽と張飛がやけに不安な顔になっている。
「行かなければな」
「その通りなのだ」
「二人共」
その二人に声をかけてきたのは趙雲だった。道中であってもである。
「面白い話がある」
「話?」
「話があるのだ?」
「そうだ。あれは私がまだ若かった時だ」
こう話すのだった。
「何時だったかな」
「待て、貴殿はまだ十代の筈だぞ」
「愛紗とさして変わらない歳の筈なのだ」
「それはそうだ」
この辺りは趙雲の悪ふざけであった。
「しかしだ」
「しかし?」
「しかしというと」
「これから話すことはだ」
「う、うむ」
「何なのだ?」
二人は怯えるものを必死に隠しながら趙雲の話を聞く。その間に廃寺の中に入る。そのうえで話を聞き続ける。当然ナコルル達も一緒だ。
「私がある寺の中で宿を借りて休んでいるとだ。壁にあった穴の中から」
「穴の中から!?」
「どうしたのだ!?」
「女の首が出て来てだ」
「お、女!?」
「女の首なのだ!?」
「そう、そしてその口は耳まで裂けていて」
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