暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十六話 決戦前夜
[5/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
怒りという名の、殺意を持った強い感情の渦。
フェイトをこんなにも傷つけた相手への怒り。
それをすぐに気づいてやれなかった自分への怒り。
そして、こういう人が生まれてしまう、この世界の理不尽への怒り。
様々な怒りが渦巻いて、気が狂ってしまいそうになる。
だけど、目の前にいるフェイトと言う少女を見つめているうちに、怒りは収まっていく。
消えないけど、今は他所へ置いていけそうだ。
「フェイト」
「な、なに」
急に呼ばれて驚いたのか、彼女の身体がビクッと跳ねた。
「ありがとう。 もう、いいよ」
俺はフェイトに握られていた腕を解いて、自分の着ていた青のパーカーを脱いで、フェイトに着させる。
俺の身長に合わせたパーカーはワンピースみたいにフェイトの下着も、体も隠してくれた。
もう十分だ。
これ以上、彼女の姿を晒し続けるわけにはいかない。
例え俺とアルフしか見ていないとしても、もういいはずだ。
もう十分、フェイトは傷ついたはずだ。
だからこれ以上、
「もう、自分で自分を傷つけなくていいよ、フェイト」
「っ!」
我慢の限界だったのだろう。
フェイトは俺の胸に抱きつき、泣き出した。
胸のあたりに感じる熱。
涙の熱、吐息の熱、嗚咽の熱、そして、心の熱。
俺の胸をギュッと握りしめる彼女の手は、まるで救いを求めるように、縋り付くように、俺の服を力強く握り締める。
そんなフェイトの姿に俺の心も耐え切れず、彼女を両腕でギュッと抱きしめる。
そうしてフェイトの嗚咽は胸の中で潜篭って、部屋中に響き渡ることはなかった。
俺とアルフの間だけに、フェイトの悲しみは響き渡った。
俺はフェイトの背中を優しく撫でながら、心の底から願った。
早く、
一日でも早く、
一時間でも早く、
一分、一秒でも早く、
この子の抱えているものが、消えてくれますようにと。
それから俺は、泣き止んだフェイトとアルフと一緒に食事をとったあと、今回の事件までの経緯を聞いた。
フェイトが辛くなればアルフが代わりに話し、気づけばこの日は二人と一緒に最後まで過ごした。
そして過ごす中で俺は、一つの決意を抱いた。
明日、全てを終わらせよう。
アマネの中に保存されたジュエルシード。
それら全てをかけて、戦おう。
そう。
この事件を終わらせる、最後の戦いをしよう。
「待ってたぞ。 イル・スフォルトゥーナ」
「待たせたなぁ、小伊坂 黒鐘ぇ!」
早朝。
水平線の
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ