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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十六話 決戦前夜
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と、流石に即答はできず、言葉に詰まる。
とはいえイエスかノーを返さないわけにはいかず、ここは素直に頷く。
「それじゃ、その……傷も、見たよね?」
「……ああ、見た」
それはしっかりと答えた。
フェイトの身体を見て、俺が驚いたのはその傷の多さだ。
剣技を磨いている身として、俺も身体に沢山の傷跡が残ってる。
それを見てリンシアさんが驚いたくらいには多い。
けど、その傷は努力していれば誰もが身につけるような傷で、見た人は驚いても痛々しいと思うことはない。
職人ともなればその職業特有の傷があるし、それはそれだと納得できる。
だけどフェイトの傷は、見るからに痛々しいと言う感想を抱くほど酷い。
何か細くてしなやかなもの……鞭のようなもので叩かれたような痕が至るところ。
特に背中に広がっていて、それは人間に向かってできる行為なのかと疑ってしまうほど、かなり乱暴に振るわれていた。
フェイトにそれを治す環境がないのか、身体の傷は深く残っていた。
先ほど、事故で二人の着替えを除いた時にもチラッと見えてしまった。
前に見たときにはなかったはずの種類の傷を。
つまり、俺と別れた後も彼女は暴力を振るわれていたってことになる。
「私、ずっと、母さんを困らせていて。 だからこの傷も、母さんを困らせた私への罰なんだ」
罰。
そう言ってきっと今まで、フェイトは耐えてきたのだろう。
悪いのは自分だ。
誰も悪くない。
悪いのはいつも自分だ。
誰も悪くない。
いつだって、どんな時だって、悪いのは自分だ。
そう思い続けて、他者が与える痛みに耐え続けてきたんだ。
長い間、ずっと独りで。
「フェイト……」
俺の後ろで、アルフが悔しそうに握りこぶしに力込めながら、主の名を発する。
使い魔とその主は、色んなものを共有すると言われてる。
魔力とか、感情とか、痛みとか。
以心伝心、一心同体の関係を結ぶのが契約。
だからアルフも、痛いのだろう。
主であるフェイトの抱えている痛みを感じて。
そして、そんな主の痛みを間近で見ても解決してあげられない、自分自身への怒りで痛いのだろう。
その気持ちは、なんとなくわかる気がする。
大切な人の側にいて、その人の痛みを和らげることも、解決させることもできない無力感。
俺も、分かる気がする。
「傷を見られるの、嫌だったよな」
「……うん」
俺の問いに、フェイトは素直に頷いた。
そうだよな。
抵抗できずにつけられた傷を、誰かに見せても大丈夫なんて、簡単には
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