0171話『陽炎と叢雲の進水日』
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
私が廊下を資料を持ちながら歩いている時だった。
目の前にいきなり陽炎が現れて、
「ね、司令。ちょっといいかな?」
「どうした陽炎?」
「うん。厳禁な話なんだけど今日って何の日か知ってる……?」
陽炎の言葉に少し考えてみる。
そして思い当たるのはやっぱりあれだろうと思って、
「そうだな。今日は陽炎の進水日か?」
「あったり! さっすが司令だね。だけどまだ正解じゃないかな? もう一人いるでしょう?」
「叢雲の方か?」
「うわー……やっぱり把握しているんだね」
「なんだ。答えてやったのにその露骨に嫌そうな顔は?」
「いや、司令って大体の艦娘の進水日は把握しているんだなって再確認しただけよ。その日になったら何かを贈っているのは知っているから」
「そうか。それだと陽炎は何か欲しいものがあるのか? わざわざ催促に来るって事は?」
「いやいやそんなんじゃないって! ただね、叢雲の件なんだけどね」
それでどこか表情を曇らせる陽炎。叢雲が何かあったのかな?
「つい数日前なんだけど叢雲にそれとなく進水日が同じだねって尋ねたんだけど、あの子自分の進水日の事を覚えていなかったのよ」
「あの叢雲がか……?」
「うん。それで場は流れちゃったんだけど、司令、どうしたらいいと思う……?」
「どうしたらいいか、か。まぁこういうケースもなくはないからサプライズで贈り物を渡して驚いてもらうのも一つの手だとは思うけどな」
「そっか。サプライズプレゼントって手もあったか。ありがと司令! 私もちょっと考えてみるよ」
そう言って陽炎はなにかを決意したような顔をして走っていってしまった。
《陽炎さん、何を思いついたのでしょうか……?》
「さぁな。まぁこちらも二人分のなにかを用意しておくか」
《そうですね提督》
それで私と榛名はいつも通りの酒保でなにか彼女達に合ったいいものはないかと検討をしていた。
なにか最近陽炎が私の周りをうろちょろするようになったんだけどなにか用かしら……?
小声で進水日がどうとか言っていたけど、それ関係かしらね?
まぁ陽炎が話をしてきた時につい反射的に知らないとか答えちゃったけど今日が私と陽炎の進水日だってことはしっかりと知っている。
そして司令官も密かに動いているのも知っている。
だから余計に目につくのよね。私も何かをしないといけないかしらって思うほどには……。
それでどうしたらいいか、吹雪に相談してみた。
こういう時にはあの子は役立つからね。
「で、どうしたらいいと思う?」
「うーん……叢雲ちゃんだけだったらいいんだけど陽炎ちゃんの進水びと被るかぁ。それじゃ叢雲ちゃんもなにかを用意してあげた方がいいんじゃないの? 陽炎ちゃんもなにかを
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ