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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十五話 病室の時間
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笑み、そしてまた過去を思い返しながら話す。
「黒鐘さんが親しく接してくれたことも、私にとって救いでした。 上司の人に怒られて、患者さんにも怒られて、失敗続きで落ち込んでいた私にとって黒鐘さんのお世話の時間は癒しでしたから」
「そうでしたか」
俺も管理局の仕事は失敗続きで、なんだったらケイジさんに怒られてばかりだ。
それに加えて責任感を持てば落ち込むとどこまでも沈むことだってある。
リンシアさんは、そういう意味では人一倍責任感が強くて、相手に親身になりやすいタイプなんだ。
だからこそ、人に怒られて、失敗して、それでも上手くなれない自分がもどかしかったことだろう。
当時、リンシアさんがそんな状況だったと知らなかった俺は、姉さんの代わりと思って甘えてしまっていた。
それに対して罪悪感が沸くが、それに気づいたのかリンシアさんは慌てた様子で首を左右に振った。
「あ、あの、本当に感謝してるんですよ!? 自然体で接してくれるほうが嬉しいですし、何より弟みたいな甘えさせたい、甘えたい感情が沸いていたのも事実ですから」
「リンシアさんって弟は?」
「いいえ、一人っ子です。 だから弟か妹が欲しかったんですけど、その前に両親が離婚してしまいまして」
「……すみません」
余計なことを言ってしまった。
こういう気が利かない所が短所だと分かっているのに、上手く直せないのが辛い。
「いえいえ、私が物心つく前のことですから気にしてません。 それより、黒鐘さんが弟みたいに思ってしまって、気づいたら甘えてしまってましたね」
ぺろっと舌を出して可愛らしく苦笑した。
それに対して俺も苦笑を返した。
俺もまた、甘えていた側だから何も言い返せなかったんだ。
「だから、私も言わせてください。 ありがとうございます」
リンシアさんは姿勢を正し、両手を揃えて深々と頭を下げた。
俺は色々湧き出た言葉をぐっとこらえ、短い一言を返した。
「こちらこそありがとうございます」
そして、
「これからもお世話になります」
こちらもベッドの上で上半身を起こした状態で深々と頭を下げる。
少し頭を上げてこちらを見たリンシアさんは小さく微笑み、
「患者として来るのは、これで最後にして欲しいですけどね」
「あー……それもそうですね」
そう言って俺たちは笑いあった。
色んな人にお世話になっている。
そう感じることが、ここ最近多くなっている気がする。
変わっているってことなのかな?
俺は、良い方向に変わっているのかな?
その答えはまだわからない。
だけど、こうして色んな人のお世話に
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