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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十五話 病室の時間
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それまでに取れたデータの確認に来ている。
という事と、実は何度もお世話になっている間柄ゆえに、俺はこの人に対して距離を感じることもなく親しみを持って挨拶をする。
「おはようございます、リンシアさん」
リンシア・エイル・アンジェラスさんは、五年前から俺が任務で負傷した際にお世話をしてくれている人で、何かと無茶しがちな俺の面倒を見てくれる人の一人だ。
本来、担当の医者や看護師って言うのはその都度変わっていくものらしいけど、俺の場合はなぜかリンシアさんが俺の担当ナースみたいになっていて、毎度毎度俺のお世話をしてくれている。
そして入院の度に『黒鐘さん、またですか?』とちょっと呆れが混じった言葉を言われるのがお約束のようになっていた。
そんなこともあってか、管理局内で会うたびに挨拶やちょっとしたお話、それとまた怪我をしてないか聞かれるほど親しくしている。
「身体は良好みたいですね」
「三日も寝てれば悪くなる要素がないですよ」
「運動も無理のない程度に抑えているようですし、このままであれば今日のお昼頃には予定通り退院できそうですね」
リンシアさんのお話通り、俺は三日ほど入院生活を送っていた。
とは言っても寝たきりってわけじゃなく、時間制限付きでトレーニングの許可も出ていたので室内ながらも体を動かしたりもした。
ただ、やはり一日の大半は睡眠に費やしていたのは間違いない。
ここ五年の中で一番何もしないことが多い時間だった。
しかも俺が何かしでかさないか心配だったのか、面会できる人をかなり制限したらしく、リンディさんとケイジさんしか客としてきた人はいない。
フェイトやなのは達が病室に入ったら、自分のことは後回しにするんじゃないかと心配されたみたいで、そしてその心配は恐らく当たっているのだろう。
そして我慢の末、俺は今日で退院となっている。
「またリンシアさんにはお世話になりました」
「もう慣れましたよ。 今回ばかりは少しヒヤッとしましたけど、大事に至らなくてよかったです」
「ホント、お世話になってます」
慣れた、なんて言われてしまうほど俺はこの人にはお世話になりっぱなしだ。
五年前、俺が始めてお世話になったとき、リンシアさんはまだ十歳だった。
その時の俺は家族を失ったショックもあって、誰かに甘えたいけど甘えられない時期で、その鬱憤もあってか任務で今以上に無茶をしまくっていた。
結果として二ヶ月の入院生活を余儀なくされて、その時に俺のお世話をしてくれたのが、まだ管理局に所属したてたのリンシアさんだった。
俺と同じ新米だったリンシアさんは、それはもう失敗の連続だった。
点滴の注射を失敗しまくり
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