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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十五話 病室の時間
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ほど理解した。
柚那の涙を見て、
みんなが俺のことを心配してくれて、
ようやく理解した。
この命は、気づけば俺一人のものじゃなくなっていた。
命をかけて戦うことはこれからも、何度もあるだろうし、その度に死にかけるような戦いをしてしまうだろう。
だけど、その度に胸を痛めてくれる相手がいるってことを、俺の帰りを待ってくれる人のことを、忘れちゃいけない。
「俺だって、いつまでも子どもでいたいわけじゃないです。 守りたい人も、支えたい人もいるんです。 その人達の側に居続けるためには強さと賢さが必要なのは、今回のことで重々理解しました」
「そうかい」
「でも」
俺は痺れが抜けてきたのを確認しながら、上半身を起き上がらせる。
そして、ケイジさんに挑みかかるように睨みつけた。
「誰かを助け続けることも、あなたを超えるって夢も、捨てたわけじゃないですからね?」
流石に驚いたのか、ケイジさんは目を見開いた。
俺にとってケイジさんは、亡き父に代わる目標だ。
魔導師としての強さとその生き様に憧れ、そして超えたいと思った。
この五年間、度々この人と戦う機会があったけど、一度として勝ったことはない。
だけどいつか勝ちたい。
これは命がけの戦いとか、正義感とかは一切関係ない。
俺の目標、ただそれだけだ。
「……ったく」
そして苦笑混じりに右手で後頭部を掻くと、ため息を漏らしながら、
「坊主がそうなったのが俺のせいになっちまわないかこれ?」
「ならタバコはやめたほうがいいですよ?」
「勘弁してくれ」
降参と言わんばかりに両手を少しだけ上にあげたその姿に、俺は笑いを堪えきれず頬を緩めた。
ケイジさんも疲れた様子ながらも、その表情は穏やかなものになっていた。
そして俺が薬の効果で眠気に襲われて眠りにつくまで、ケイジさんは話し相手に付き合ってくれた。
こういう、なんだかんだで面倒見が良い所も憧れてしまう。
そう思いながら見た夢は、決して悪いものじゃなかった気がする。
*****
「……ん?」
「あ、黒鐘さん。 おはようございます」
翌日、目が覚めた俺の隣に立って花が咲いたような笑顔を向けてくれたのは、真っ白なナース服を身につけた白髪で短髪の女性だった。
点滴など、俺の身体に刺さっているようなものが一つもないので、彼女がここにいるのは恐らくベッド脇に設置された医療機器の確認だろう。
なにせ精密機器で人の身体管理をしている道具だ。
小さな故障がそのまま患者の死に繋がることだってあるため、早朝と就寝前には必ず担当の看護師が点検と、
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