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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十五話 病室の時間
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レシア・テスタロッサの拠点と思われていた場所には何もなく、それが偽物の拠点だったことが明らかになった。

 恐らく管理局に目をつけられたとき用に備えていて、見事に一杯食わされたと言うわけだ。

 幸い、偽物の拠点に危険な罠の類はなかったので部隊は被害を受けずに帰って来れたわけだから、その点は喜ぶべき点だ。

 中には侵入の瞬間に爆発する罠を設置する相手だっているわけで、それが原因で壊滅した部隊だってある。

 なぜプレシアが罠を設置しなかったのかまでは分からない。

 そんな余裕がないほど管理局の介入が早かったか、他にもいくつか偽物の拠点があって、その全部に罠を設置するのが大変だったからなのか。

 憶測は浮かべればいくらでも浮かぶ。

 けど、結局は本人に問い詰めるしかないわけで、やることは変わらない。

「坊主を褒めるとすりゃ、首謀者と一番距離が近い相手を連れてきたこったなぁ。 あの嬢ちゃんは坊主を信頼してるみたいだし、ちょっと問い詰めりゃすぐに全部吐いてくれんだろ?」

「フェイトをそんな風に言わないでくれません?」

 真顔で語るケイジさんの言葉にイラっと来て睨みつけてみるが、身動きひとつ取れない俺の睨みが効いている様子はない。

 むしろその顔からは呆れや失望といった印象を感じるほど眉が寄せ合っていた。

「坊主、お前さんはちと犯罪者に肩入れしすぎだ。 俺が、坊主がこの事件に介入するのを否定したのは、坊主がそうやって感情的になるからだ」

「……」

 言い返したい怒りの反面、言い返す言葉がないのが悔しくて下唇を強く噛み締める。

 感情的になってる自覚はある。

 管理局の職員としては、事件を解決させようとする人としては、感情を重視して動いてしまった時点で失格だ。

 それが分かっているから、何も言い返せない。

「坊主がこれから先もここで働きてぇって言うんなら、もう少し大人にならないと務まらねぇ。 俺の言ってること、分かるな?」

「……はい」

 感情を押し殺し、正しい判断で悪を裁く。

 管理局に入って間もない頃、ケイジさんにそう言われたのを思い出した。

 俺はそれに従って、常に正しいと思えることをしてきたはずだ。

 なのに、それでも、どうしても感情が理性を殺す瞬間がある。

 フェイトの出来事がまさにそれだ。

 俺はずっと、家族が関わる事件に敏感で、親が子どもを傷つける、子供が親を傷つけるような事件に関わると冷静な判断ができなくなる。

 今回のように、ボロボロの身体に鞭を打ってしまうくらいには冷静じゃなくなる。

「それに関しては、本当に反省してます」

 だけどそれが正しいことばかりじゃないってことは、今回のことで痛い
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