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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
83部分:第八話 董卓、城を抜け出すのことその五
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第八話 董卓、城を抜け出すのことその五

「鈴々と似ている名前でいいのだ」
「そうですね。似ていますね」
「だから気に入ったのだ」
 こう言うのであった。そしてこの少女はまた行って来た。
「それでなのですが」
「うむ、それで」
「最近この辺りでよくない噂を聞きまして」
「山賊のことですか?」
 香澄はそれではないかと問うた。
「それでしたらもう私達が退治して役人に引き渡しました」
「先程の連中とは別のな」
 キングもそれではないかと返す。
「話はそれで終わりだな」
「いえ、山賊ではありません」
 だが少女はそうではないという。こう一行に言うのである。今は趙雲が案内をしている。彼女の両手には地図がありそれを見ながら進んでいるのだ。
「それは違います」
「というと?」
「この辺りに化け物が出ると聞きまして」
「えっ!?」
「化け物!?」
 化け物と聞いてだった。関羽と張飛がすぐに声をあげた。
「それはまことか」
「困ったことなのだ」
「むっ!?」
 今の二人の言葉を聞いた趙雲はすぐに怪訝な顔になった。そのうえで二人に問うのであった。
「何故御主達がここでそんな顔になるのだ?」
「い、いやそれはだ」
「何でもないのだ」
「そうか。それならいいがな」
 こうは返してもであった。趙雲は何かに気付いたらしく口元を微かに綻ばさせた。しかしそれは一瞬のことですぐに元の顔に戻って言うのであった。
「それでだ。董々殿」
「はい」
「貴殿はその化け物の話を聞いてここまで来たのだな」
「はい、長安にいたのですが」
「ふむ、長安に」
 ここからかなり離れている。それはもう趙雲の頭の中に入っている。
「そうか、そこからか」
「そうです。それでここまで来て確かめたいと思いました」
「それはいいが」
 ここまで聞いてだ。趙雲は言った。関羽とキングもだ。
「随分と行動力があるな」
「そうだな。ここから長安まで随分とあるが」
「しかもあんたが化け物を退治するのかい?」
 三人はそれぞれ少女に対して言った。
「只怖いもの見たさで来るものだろうか」
「化け物退治には向かないと思うがね、あんたじゃ」
「私達でもないとね」
 舞はこう言ってきた。
「化け物の相手なんて無理よ」
「あっ、それは」
 少女は周囲の言葉に戸惑った。そしてそのうえでこう言うのであった。
「その。実家がこの辺りにありまして」
「そこから帰ったついでにだったんですね」
「はい、そうです」
 香澄の言葉にすぐに頷くのだった。
「その通りです」
「そうですか。それではまず村に入って」
「そうなのだ。全部そこからなのだ」
 張飛はナコルルの言葉に頷いた。
「化け物が本当にいたとしてもなのだ」
「あれ、張飛さん」

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