第四百七十一話
[8]前話 [2]次話
第四百七十一話 赤音から見ても
華奈子は苦手意識が極めて強い水の魔法をいつも困った顔で使っていた。しかしその華奈子を見てだった。
赤音は塾でだ、こう華奈子に言った。
「結構上手じゃない」
「そう?」
「というか私よりも上手なんじゃ」
華奈子にこうも言った。
「華奈子ちゃんの水の魔法って」
「それはないわよ」
「いえ、実際にね」
「使っていてもなのね」
「別にね」
特にというのだ。
「苦手に見えないし」
「よく使えているの」
「ええ、そう思うわ」
「そうかしら」
そう言われてもだ、華奈子はまさかという顔になってそのうえで首を傾げさせるばかりだった。それはないというのだ。
「あたしとしては」
「華奈子ちゃんはそう思っていてもね」
「それでもなの」
「結構上手に出来てるわよ」
「だったらいいけれど」
「問題ないんじゃ」
華奈子は水玉を出した、そしてその水玉をシャボン球の様に幾つも宙にふわふわと漂わせているのを見て答えた。
「そこまで出来ていたら」
「だといいけれどね」
「自信ないみたいね」
「うん、どうしてもね」
出来ていると思えずにだ、自分では。
「美奈子も言ってたけれど」
「出来てるってよね」
「問題ないって」
「苦手意識があるだけじゃないの?」
赤音もこう言ったのだった。
「華奈子ちゃんが」
「自分で苦手だ苦手だって思って」
「それでね」
そのせいでというのだ。
「自分でも下手だ、出来てない、苦手ってね」
「思っていて使ってるから」
「自然と苦手に思えてるんじゃ」
そうではないかというのだ。
「華奈子ちゃん自身がね」
「苦手意識ってことね」
「それを克服しようと思ったら練習ね」
赤音も美奈子と同じことを言った、華奈子にしてもそう言うだろうと思ってそのうえで彼女の話を聞いていた。
第四百七十一話 完
2017・8・14
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ