ー いざ、決戦へ ー
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よ」
「装備を『メイド服にしてあげるね☆』って提案したら、喜んで髪結わせてくれたよ!」
「「え、えげつねぇー」」
揃って非難の声を上げる二人に、ユーリがコクコクと無言で頷いた。
完全に私が悪者の空気だが、少し待って欲しい。 メイド服を着た犬耳が、刀を片手にボスに切った張ったを繰り広げる。 さぞかしボス戦は盛り上がるだろう。 と提案してみたところ非常に微妙な表情を浮かべられた。
「カオスかよ」
「カオスだな」
おそらくメイド服を着たプレイヤーが暴れまわる様子を想像したのだろう。 二人が意味深に呟くと、ユーリを哀れなものをみる視線で見下ろした。
「な、なんだよ」
「いやお前さんも苦労してんな、って」
「嬢ちゃんも相方を労ってやれよ? そのうち愛想尽かされるぜ? それが家庭円満の秘訣だ」
「くっ、言葉の重みが違う……て言うか、労わるのは夫であって、逆だよね!?」
喧々囂々。 喧しくも楽しい時間は、あっという間に過ぎて行く。 途中合流したアスナにユーリが犬可愛がられるハプニングこそあったが平和そのものだった。 とてもこれから死地に赴くとは思えないほどに。 今の時間が永遠に続けばいいとさえ思ったりもした。
しかし、時間は無情にも進む。
そして、時刻1時半。 第75層ボス攻略が開催される時間がやってきた。
回廊結晶によって、一団ごとボス部屋の前まで転移しており、緩んだ雰囲気はなく、空気が冷たく張り詰めている。
相棒のユーリでさえも、少し近寄り難い雰囲気を醸し出し、大扉の奥で待ち受けているであろう敵を睨みつけていた。
そんな彼を見て、ユーリが手の届かないところに行ってしまうような言いようのない不安と寂しさに駆られる。
気がつけば、空いた手がそっと着物の袖を掴んでいた。
「……ねぇ、ユーリ」
「ん?」
単純に私の神妙な様子に疑問を持ったのだろう。 首を傾げると、言葉の先を促してくる。
「このボス戦が終わったら、さ」
「お、おう」
一拍置き、続く言葉を満面の笑みとともにぶちかました。
「ーープロボーズしてね?」
「死亡フラグじゃねぇか!!」
ピンと犬耳を立たせてツッコミをするユーリの様子がおかしくて、安心出来て、体の強張りが解けていく。
私のふざけ癖は、ただの強かりだ。 ずっと一緒にいるユーリもそれを理解しているのだろう。 額に手を当て、深いため息を吐き出すがそれ以上は何も言ってこない。
「……あはは、って痛ったぁ!?」
「自業自得!」
せいぜい頭をはたかれたくらいだ。
「よーーし! やる気でた! 悪魔でも、ドラゴンでもドンと来い!」
「あぁ、もうどうにでもなれ!」
私の隣でユーリがヤケクソになって叫ぶ。
ボス部屋と迷
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