第一章 天下統一編
第二十五話 牛鍋
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俺は高山右近に言った。
「鶏卵ですか?」
高山右近は要領が得ないという顔をした。蒲生氏郷と細川忠興も同じだった。この時代は牛鍋は一般的でない。すき焼きを卵で食べるという文化もないだろう。
「牛鍋の肉の味は強い。生の鶏卵に肉をつけて食べれば、卵のお陰でまろやかな味わいになります」
「そうなのですか?」
「はい、一度試されてください」
高山右近は俺の話に真剣に聞いていた。
「豊臣侍従様はやはり面白い御方のようだ。常識に囚われない御方と思っておりましたが、美食家でもあられるとは」
「美食家と言うほど大層なものでありません。たまたま知っていただけです」
「そういうことにしておきましょう」
高山右近は俺にそれ以上は突っ込んだ質問はしてこなかった。
その後、俺は蒲生氏郷、細川忠興、高山右近と一緒に牛鍋を囲み肉の味を堪能した。はじめは会話が少なかったが、食事が進むと会話が弾んできた。硬い態度を取っていた細川忠興も後半は俺と普通に会話をしていた。
もしかして蒲生氏郷は俺と細川忠興の因縁を聞きつけてお節介をしたのだろうか。
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