第一章 天下統一編
第二十五話 牛鍋
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場で卑怯な駆け引きを積極的に使わないと思う。屑で、屁たれで、卑怯で、畜生のハイエナみたいな伊達政宗とは相性が悪いだろうな。
そうこうしていると前田家の陣所についたようだ。前田家の家紋である梅鉢紋の軍旗が彼方此方にはためいている。
前田家の陣所に近づくと足軽に止められるが、蒲生氏郷のお陰ですンなりと陣所に入ることができた。彼は日頃からよく前田家の陣所に来ているのだろう。
「着いたぞ」
蒲生氏郷は足を止めた。高山右近の陣所は客将ながら、前田家の陣所の中心に近い場所に陣所を設けていた。軍旗の家紋は七曜だ。高山右近のことは知っていたが家紋は知らなかった。一つ賢くなったことに内心喜びを感じた。
俺は蒲生氏郷の後を付いて陣所の建物の中に入っていく。途中、小姓達が俺達の応対をしてくれた。小姓達の所作は教育が行き届いている感じがした。俺のように半端な感じがしない。
一番奥の部屋に通され、部屋に入ると俺は言葉を失った。部屋の中には先客がいた。彼は囲炉裏のある場所に腰をかけている。
「細川殿」
俺は平静を装いながら細川忠興に声をかけた。細川忠興も俺を見て急に無表情になる。俺と細川忠興は赤井氏縁者を士官する際に一悶着を起こして因縁がある。
彼の父、細川幽斎、は俺が誠心誠意頭を下げて頼んだら納得してくれた。彼も父の顔を立てて表向きは納得してくれた。でも、この様子ではまだ俺に一物を持っているような気がする。
「忠興殿、そんな顔をしなくてもいいだろう。折角、彦五郎が宴席を用意してくれたのだ。楽しくやろうでないか?」
蒲生氏郷は機嫌良さそうに細川忠興に声をかけた。細川忠興は無表情だったが、どうするか悩んでいる様子だった。
「婿殿、そこで何を立っている。こっちに座らないか」
蒲生氏郷は体を移動して細川忠興の真横の席に座るように案内してきた。細川忠興は蒲生氏郷の言葉に困惑気味だったが何も言わない。
なおも蒲生氏郷は俺に座るように促してきたため、渋々細川忠興の横に座った。
「細川殿、横を失礼させてもらいます」
「豊臣侍従様、お気遣いご無用にございます」
俺と細川忠興は固い会話を交わした。その様子を見終えると蒲生氏郷は俺の横に座った。
「細川殿が舅殿のご昵近とは知りませんでした」
「蒲生殿とは懇意にしていただいています。この度の縁談お喜び申し上げます」
俺と細川忠興が社交辞令のような会話をしていると部屋に入ってきた。身なりからして、この陣所の主、高山右近、だろう。
彼は態勢を低くして俺に近づいてくると、俺の目の前に腰をかけた。
「私は高山彦五郎と申し上げます。豊臣侍従様、態々お越しいただきありがとうございました」
「高山殿、美味な料理を馳走していただけると聞き、足を運ばせて
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