第一章 天下統一編
第二十五話 牛鍋
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。いつも仏頂面だった柳生宗章とは思えない反応だった。
「そうだな」
俺は笑顔で柳生宗章に答えた。
「殿、蒲生様が参られました」
小姓が小走りで俺の元にやってきて蒲生氏郷の訪問を伝えてきた。蒲生氏郷が何のようだ。縁談話の件はもう済んだはずだ。
しばらく放っておいて欲しい。
俺も気持ちの整理をしたいんだ。
会わない訳にもいかない。蒲生氏郷は俺の義父となる人物だからな。
俺は小姓に蒲生氏郷を奥座敷に通すように言った。俺は柳生宗章を伴い蒲生氏郷と会うことにした。蒲生氏郷も具足を身に着けず着物姿だった。この情勢下で物々しい格好をする必要もないからな。
蒲生氏郷はいつ見ても美男だな。
俺も美男に生まれたかったとつくづく思う。咲姫と上手くやっていけるか不安になってくる。咲姫は絶対に美女だ。劣等感に苛まれ息の詰まる生活が待っているかもしれない。
「婿殿、忙しいところ済まなかった」
蒲生氏郷は俺の気持ちなど解すること無く笑顔で挨拶してくる。
「いいえ。調度のんびりしていたところです」
俺は佇まいを正し座したまま蒲生氏郷に向き直る。
「暇をしていたか」
蒲生氏郷の反応はわざとらしい。彼は目的があって俺のところにやってきたのだろう。
「関白殿下が小田原に在陣する諸将に家族を呼び寄せるように命令があった」
俺は史実を知っているため驚かなかった。
「その様子ではもう知っていたか? 相変わらず耳の早い奴だ」
「知りませんでした。でも、小田原の様子を見れば戦場と思えない。派手好きの関白殿下なら、そういう趣向をお考えになっても不思議でないと思っただけです」
俺は興味がない様子で淡々と答え、縁側に視線を戻す。長閑な天気だな。蒲生氏郷は早く帰らないだろうか。
「張り合いのない小僧だ。それでは女子には好かれないぞ」
「別に女子好かれなくてもいいです。好きな女子だけに好かれればいいと思っています」
俺の話を聞いた蒲生氏郷は沈黙し感慨深そうな表情で俺を見た。
「婿殿の言う通りだ。確かに誰彼構わず愛想を振りまく必要はない」
蒲生氏郷は深く頷きながら言った。彼は生涯側室を持たず正室一筋だったからな。俺の言葉に共感したんだろう。
「一途な婿殿に朗報だ。先ほど家族を呼び寄せることになったと言っただろう。義妹の咲も呼び寄せることになった。十五日もあれば小田原に来るだろう」
蒲生氏郷は一々と気に障ることを言う。俺は彼の真剣な表情と裏腹に咲姫と会うことに不安を覚えた。一度も会ったことのない相手、許嫁、のことを想像する。性格が悪い女性だったらどうしよう。気の強い女性だったらどうしよう。考えても仕方ないこと
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